長崎NOW 「しんぶん赤旗」2006/9/15
長崎市茂木地区 豪雨で県道陥没
「ミカン出荷の道急いで」
党市議の質問に市長が「路線バス検討」
 
 崩落した県道の現場八月末、長崎市内を襲った三時間雨量・百六十_超の集中豪雨によって、市内約四十カ所でガケ崩れが発生しました。なかでも長さ四十二b、幅六bにわたって県道(野母崎・宿線)が陥没した災害は、生活道路を奪われた住民に深刻な影響を及ぼし始めており抜本策が求められています。 (長崎県・田中康)
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 陥没した県道は橘湾に面した長崎市南部の宮摺(みやずり)|茂木間約四`の中間地点。宮摺側(宮摺・大崎・千々の三町の約千人)の住民にとっては市街地に通じる主要幹線道路です。六十b下は海、背後に急斜面のビワ畑が迫り、復旧のメドはたっていません。
 日本共産党茂木支部(大塚亮介支部長)と山本誠一市議団長、牧山隆党市医療福祉部長(市議候補)らは八日、現場を視察し住民の切実な声を聞きました。
 現場はいま、山側を削って幅一bの歩道ができ、かろうじてバイクと徒歩で通行できます。
現場を調査し要求を聞く、山本市議ら(中央)
 「茂木まで歩いて行ったら具合が悪くなった。もう足が動かん」とヒザをさするビワ農家の男性‖宮摺町‖は、「病院行きが一番困る」といいます。宮摺からさらに四`離れた大崎町に住む山崎利男さん。通常は十五分程で着く茂木町の病院に、二時間かかる迂回路を通って通院しています。この日の帰りは災害現場までタクシー。反対側に家族が時計を見ながら車で待っています。「ちょうどよかった。どうしても共産党に力をかしてもらいたい」−山本市議ら調査団を見つけて訴えました。
 この日も宮摺自治会の三役がそろって現場を見回っています。木村速人会長は、道路幅確保のため地権者の許可はもらえたが、その先はわれわれではどうにもできない|、「九月末にはみかんの出荷が始まる。せめて軽トラックが通れる道幅にしてほしい」「何とかしないと夜も眠れない」といいます。

 二十四年前の長崎大水害時のように「臨時の橋を架けたり、仮歩道を広げるなどできるはず」、「現場の両側に小型の乗合タクシーを時刻表をつくって配置すれば、通学の子どもも通院の年寄りも助かる」などと、集まってきた住民の要望は具体的です。
 実際、茂木町にある小・中学校に通う子どもたち二十数人の登下校は当分の間タクシー送迎になりましたが、「狭い、カーブばかりの山越えルート。片道一時間、車に酔う子もいて授業になるのか心配」との声が出されました。「女性一人の夜の運転」への不安も訴えられました。

 日本共産党の山本市議は十一日、市議会一般質問で「ミカンの出荷を前に事態は深刻。ストレスによる住民の健康悪化もあり、県道復旧までの交通手段の確保は緊急を要する」と要求。伊藤一長市長は、「路線バスの運行は、県や事業者と情報交換を密にし対応策を検討する」と答えました。 長崎県は十三日、災害現場の山側に二dまでの車が通れる迂回路をつくることを決めました。

 党支部とともに参加した牧山党市医療福祉部長は、「長崎大水害のときの教訓を生かし、緊急車両の配置と、住民の健康管理体制を臨時につくることが必要」と話しています。