嘉代子桜が今年も花咲かす



 原爆の犠牲になった女学生たちを忘れまいー。
 城山小学校の「嘉代子桜」が今年も花を咲かせ、五部咲きです。近所の人が満開を楽しみに毎日通ってきます。

 長崎市の爆心地から西へ約五百bの高台に建っていた城山国民学校。その日、校内には教職員や動員学徒ら約百六十人がいましたが生存者はわずか二十人。夏休み中とはいえ在校児童千五百人のうちおよそ千四百人が犠牲になりました。

 嘉代子さんは当時高等女学校の四年生。同僚とともに動員学徒としてここで働いていました。
 被爆から二十一日目、母親の津恵さんは上半身が焼け残った嘉代子さんの遺体をやっと探し出すことができたのです。

 津恵さんは、「死んでいった女学生たちの魂が育ててくれる」と、嘉代子さんが好きだった桜の苗木を同校に贈りました。今では校庭の桜の木の中でもひと際大きく育ち、子どもたちの元気な姿を見守っています。

 被爆校舎など、多くの遺構があの日の惨状を伝える城山小学校。まもなく新学期を迎えます。

「しんぶん赤旗」2006/4/1