レッドパージでの弾圧犠牲者が憲法にてらした人権回復を要請

 「世界人権宣言」に基づき、人権思想の啓発を目的に設けられた「人権週間・世界人権デー」にあたり、「レッドパージ」といわれる大弾圧で職場を追われた犠牲者が九日、長崎法務局を訪れ、憲法に基づく地位保全、年金補償など、「占領下の事件」として奪われたままの人権回復を要請しました。
 訴えたのは藤原重郎、城野貞義(元三菱長崎造船所)南嘉昭(元九州配電)、吉田次雄(元日本発送電小倉)、岩崎英也(元日鉄鉱業神田炭鉱)の五氏。
 藤原氏らは、米占領軍の指揮のもと日本政府と財界による弾圧で、「一九四九年から五〇年にかけ、思想・信条を理由に日本共産党員や組合活動家を狙って職場から追放した。生活権をうばわれた犠牲者は推定四万人」と、当時の凄まじい不当解雇の実態を説明。「新憲法のもと、サンフランシスコ条約で独立日本となった後も、何の救済策もなく放置されてきた」と、その不当性を明らかにしました。
 各氏は、「不当解雇にとどまらず再就職を妨害され、親せきに圧力が加えられるなど計り知れない不利益を被った」「そのため年金もきわめて少なく、いまもその影響は大きい」と訴えました。
 要請を受けた担当者は、「みなさんの意志にそって、『訴え』があったことを人権擁護委員組織体に伝えたい」と答えました。
 世界でもまれな同弾圧事件は、レッドパージ全国連絡センターによって人権問題として国連で取り上げられ、人権擁護委員会がとりあげている県もあります。

「しんぶん赤旗」2005/12/13