2005年11月30日(水)「しんぶん赤旗」

「被爆体験者」医療給付改悪

対象3割切り捨て

赤嶺議員と長崎市議団 厚労省に改善要求


 長崎市で実施されている「被爆体験者」への国の医療費給付事業が制度改悪され、多くの被爆者が切り捨てられている問題で二十九日、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員と長崎市議団が厚生労働省と交渉しました。

 同事業は、被爆地域指定の拡大・是正を求める長年の住民運動のなか、国が未指定の地域についても、原爆による精神的な要因で健康が悪化している者がいるとして実施を始めたもの。九千三十三人(二〇〇三年度)が医療給付を受けていましたが、ことし六月実施の全面的な「見直し」により、スクリーニング(面談による聞き取り)の段階で給付対象の被爆者一万四十人のうち、約三割の三千七十九人が給付対象から除外されました。

 長崎で聞き取り調査をしてきた赤嶺議員は、「同じように被爆した姉妹でも姉だけが切り捨てられる事態もおきている」と指摘。ただちに現地で実情を調査し、改善するよう求めました。

 厚労省健康局総務課の染谷意、大重修一両課長補佐は、「財政当局」から指摘を受け、「見直し」をおこなったと繰り返しました。長崎市の原爆被爆者援護強化対策協議会が改善を求めていることにたいし、「市の見解はおかしい」と強弁しました。

 赤嶺議員や長崎市議らは、「スクリーニングでは、被爆当時の記憶があいまいな四歳以下だったり、言語障害の方が切り捨てられている。被爆者たちは『まるで口頭試験』といっている」「爆心地から十二キロで被爆しても、国が原爆の被害を被爆当時の長崎市に限定して被爆者として認めてこなかったことが問題の発端。被爆の実相をつかみ、全員救済してほしい」と重ねてただしました。

 交渉に参加した長崎市議は、内田隆英、津村国弘、山本誠一、中田剛の各氏です。