長崎NOW
合併から一年過ぎた五島市、共産党がアンケート
「合併でいいこと何もない」


 長崎県の旧福江市と周辺五町が合併し人口四万九千人の「五島市」が誕生したのは昨年八月。「九十一人ものマンモス議会はムダ遣い」との批判をあび、二月の出直し市議選で再スタートしてから九カ月がたちました。日本共産党五島市委員会と同市議団が実施した「市民アンケート」をもとに、合併後の五島市を取材しました。(長崎県 田中康記者)
   
約五百人が回答寄せる
 これまで毎年実施してきた市民アンケートは旧福江市や富江町だけ、今回は新「五島市」の全世帯です。約二万戸とはいえ、福江島を中心に三十世帯とか七十世帯の島など、人が住む島が十もあります。
 アンケート用紙を届けるのにも九月末から約一ヵ月かかりました。四百枚をリュックに背負い、帰りの船の時刻に合わせて島中に届けたり、十世帯足らずの集落が点在するリアス式海岸沿いの地域を終日歩いて、あいさつしながらの手渡し作業です。
 記入して返送されてきたアンケートは約五百通。旧福江市内で実施していたときの約二・五倍です。約六割が旧五町からのもので五十歳以上の回答者が73%でした。回答を寄せた人たちの三人に一人が、○×の選択だけでなく文章で暮らしぶりや意見をのべています。
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 「暮らし向き」について、この一年で「悪くなった」と答えた人が67%にのぼり、「雇用対策が一番、このままでは老人ばかりのさびしい島になりそう」「国保税や介護保険料が高すぎます」など、具体的な訴えが続きます。四十年間海産物店を営んできた山本重夫さんは、「活性化策といっても小手先で解決できる状況じゃない。地域も行政も力を合わせて、知恵と力を出し合う時」と、党のアンケート活動に共感しました。
 「家庭でどんな節約に努めていますか」と聞いたところ、「食費の切り詰め。特価品や半額セールを利用」「風呂の回数を減らし、早目に寝る。洗剤の量を減らす」「衣類や本は買わない」「これ以上節約できん」などと三百十五人が回答。生活実態や苦労を改めて実感しました。
 「合併してよくなった事、悪くなったこと」の問には、二百三十人が回答しました。「福祉関係が特に悪くなった」「どこでも住民票が取れるようになった以外、何もいいことはない」「合併前よりすべて悪くなった」など、特に旧町からの怒りの声が圧倒的でした。旧奈留町では、眼科の健診も敬老祝金もなくなった、「合併して悪くはならんと説明していたのにとんでもない。騙された」と、訪ねた党員に訴えたといいます。
 福江の中心商店街で働く女性は、「周辺の町から買い物に来たほとんどの人が『合併がここまでひどいとは思わなかった』と言っています」と教えてくれました。
 「憲法九条改定」については49%が反対、26%の人は「分からない」と答えました。「消費税増税」については72%が反対しています。
 集計にあたった向原安男市議は、「これまでは半ば冷やかし気味の回答もあったが、今回はまじめに、面々と合併後の市政について綴ったものが多く、どんな気持ちで記入したかその人の思いが伝わってきた」と感想を語っていました。
 日本共産党はアンケート結果を市民に知らせるとともに、訴えや要望の全項目について実態調査し、実現に全力をあげることにしています。

「しんぶん赤旗」2005/11/18