被爆体験者への医療費給付
対象外の人も心的影響あり 国に救済求める
  長崎市の「原爆被爆者援護強化対策協議会


 長崎原爆「被爆体験者」への医療費給付事業見直しによって三人に一人が支給を打ち切られた問題で、長崎市の「原爆被爆者援護強化対策協議会(原援協)[会長・内田進博助役]は九日、スクリーニング検査の結果「制度の対象外」とされた人の中に、「心身の不安を訴える人がいる」とする分析結果をまとめ、国に救済を求める方針を決めました。
 調査分析では、スクリーニング検査(面談による聞き取り)で被爆体験を聞かれ、「分からない・不明」と記載された人のうち、34.7%(約三百人)が、「被爆体験や放射能への不安から精神疾患の治療をうけている」と指摘、検査の仕組みの改善が必要としています。
 この問題では、対象外とされた「被爆体験者」から「兄弟で被爆したのになぜ一人だけ却下か」などと、矛盾を指摘する声が続出していました。
 こうした声を受け長崎市被爆地域拡大連絡会は市に対し、「(却下された人の)大半は被爆時に幼児だった人、現在認知症や言語障害の人など」と審査実態を指摘し、却下理由を示すよう要請。市は「却下した一人ひとりについて状況を把握し、できるだけ救済したい」と答えていました。
 同連絡会の古木泰男さん(74)は、「再検査をしてほしいとの切実な声に応えようと運動に取り組んでいる矢先で、救済方針は運動に弾みがつきます」と話しました。

「しんぶん赤旗」2005/11/11