医療費給付基準示して
被爆地域拡大連絡会が「医療給付事業改善」求め、長崎市に申し入れ


 三年前に始まった「被爆体験者」への医療費給付事業の見直しで、三人に一人が打ち切られたことから、長崎被爆地域拡大連絡会(峰松巳代表)は十八日、長崎市に対し、「被爆体験者医療給付事業の改善」を申し入れました。
 爆心地から半径十二`以内で被爆しながら被爆者として認められていない被爆未指定地域の「被爆体験者」ら約三十人が参加しました。
 峰代表は、給付を打ち切られた約二千五百人(市内)について、「大半は被爆時に幼児だった人、現在認知症や言語障害の人、高齢者」と審査の実態を指摘。判定基準や却下理由を明らかにし、事業目的を元に戻すことなどを求めました。
 同市の出口静夫原爆被爆対策部長は、「統計的には若年層や認知症の人で落ちた人が多い」と指摘を認めながらも、却下の理由は明らかにできないなどと答えました。
 参加者は、「母は合格、その母に背負われて被爆した私は落とされた。どういうことか」「一言の聞き取りもなく却下された。何を根拠に判定したのか」などと、合理性のない判定結果の事例を次々に発言。「(長崎市に)私たちの声を国に反映してもらわなければ被爆者は救われない」と、被爆者の立場にたつ被爆行政をと訴えました。
 国は六月の事業見直しで、対象を県内居住者に拡大する一方、予算を35%削減して対象疾病を大幅に限定。目的を「健康の保持・向上」から「症状の改善・治癒」に変更するなど、踏まえるべき被爆者援護法の趣旨から同事業を逸脱させ、被爆行政に矛盾と新たな不公平をつくっています。

「しんぶん赤旗」2005/10/21