対馬市議会
入札で「最低価格をピタリ」。入札疑惑めぐり百条委員会で真相究明へ

 「最低制限価格をピタリ」、離島の公共事業入札でこんな不可解なことがー。長崎県対馬市の漁港工事などの入札で、最低制限価格と全く同額での落札が相次ぎ、同市議会は定例議会最終日の三日、「調査特別委員会(百条委)」の設置を決め、十二日に第一回が開かれました。

 きっかけは共産党の質問
 「漁港地域基盤整備工事」を中心とする二十一件の「制限付」一般競争入札が実施されたのは九月八日。このうち予定価格が一億三百万円から二億七千万円までの事業七件の落札価格が、業者が知らないはずの最低制限価格とピタリ一致(三件)、あるいは千円から三千円のわずかな差による落札(四件)でした。
 日本共産党の武本哲勇市議は、独自の調査に基づき議会一般質問でこの問題を取り上げ、「奇跡が同時に三回起こったほどの珍事」と、不可解な入札結果について市長の見解を求めました。
 松村良幸市長は、「不信を持つなら、百条委員会でも何でもつくって調べてください」と開き直り、議会内外で大きな問題となったものです。地元の土木建設業者や市の職員、市民の間でも、驚きや批判とともに「やっぱり」との声も聞かれます。
 同市では、「談合を防ぐため」として、最低価格を設定する「制限付」一般競争入札を導入。最低制限価格を何らかの方法で知れば確実に落札できるとして、行政幹部と特定業者の癒着が懸念されていました。
 「百条委員会」設置を決めた議会決議は、同日執行の入札全般を調査対象にし、「特に漁港工事が顕著であり、最低制限価格が漏洩されたものと疑わざるを得ない」としています。

 疑惑を呼んだ入札公告変更
 さらに、入札参加条件の公告で、「元請」とされていたものが、四日後に「元請及び下請」に変更されたことを、「特定業者参入について、便宜を図った措置であることを疑わざるを得ない」と指摘しました。現在、「不正入札」で指名停止処分中の同市最大手業者のダミー会社として、「下請」の実績しかない業者「イチケン」を入札に参加させるための公告変更だったのではないかという疑惑です。
 「イチケン」は同日の入札で、最低制限価格とピタリ一致する価格や三千円しか誤差がない価格などを含む四件、五億二千万円を落札しました。
 「百条委員会」(糸瀬一彦委員長ら十人、武本市議も参加)は、「疑惑を市民の前に明らかにし、適正な入札執行のあり方を求める」としています。

 同市は昨年三月、県内のトップをきって六町合併で誕生した新市で、土木公共事業への依存度が高い離島の街。市民の間では、「癒着の構造は歴然、それにしてもひどすぎる」(飲食店主)、「特定業者を擁護する行政には歯止めをかけるべきだ」(建設業者)などの声があがっています。「徹底した調査で市政と業者の癒着をたちきって」との声も広がっており、速やかな真相解明が求められています。

 市民とともに住みよい街へ
日本共産党・武本哲勇市議の話
 「百条委員会設置に賛同した議員はそれぞれの得意分野を生かして、真相解明と腐敗した市政の正常化に取り組んでいます。一般質問できっかけをつくった一人として、責任の重さを自覚し、市民とともに住みよい街づくりにがんばります。

「しんぶん赤旗」2005/10/14