原爆資料館で「第五福竜丸展」
「死の灰」や船内備品、故鎌田定夫氏の「弔詩」などを展示


 操業中に米国の水爆実験に遭遇し「死の灰」をあびた「第五福竜丸」の関係資料を展示した「第五福竜丸」展が、長崎市平野町の原爆資料館で初めて開かれています。
 一九五四年三月一日未明、静岡県焼津港所属の遠洋マグロ漁船だった同船は、太平洋マーシャル諸島・ビキニ環礁沖の公海で被曝。乗組員二十三人が急性放射能症に苦しみ、九月には無線長の久保山愛吉さんが死亡しました。事件をきっかけに原水爆禁止の世論は国中に広がり、翌年から日本原水協などによって「三・一ビキニデー」が毎年開かれ、核兵器廃絶、被爆者援護の誓いを新たにする日となっています。
 展示されているのは、船体から採取された「死の灰」や乗組員のメモ、日用品、被災したマーシャル諸島住民の写真パネルなどです。長崎で核兵器廃絶と平和運動に献身した故鎌田定夫氏(長崎平和研究所設立者)が、九州大学在学中に、久保山さんの妻すずさんに送った「弔詩」も初公開されています。
 会場では修学旅行の小中学生らがメモをとりながら展示に見入り、「何の罪もない人たちが犠牲になるのは納得いかない」「戦争はいや、原爆はいや」などと感想ノートに書き込んでいました。
 同展は十二月二十五日までの午前八時半〜午後五時半。資料館入場料(大人二百円・高校生以下百円、市民は無料)で見ることができます。