諫早市の大型ゴミ処理場、処理能力発揮できず
「欠陥施設の疑惑」。党議員団が質問状

 長崎県諫早市福田町の大型ごみ処理施設「県央県南クリーンセンター」は、四月から本格稼動したものの処理能力を発揮できず、市民の間では「施設に欠陥があるのではないか」と大きな問題になっています。日本共産党議員団は二十七日、同センターを訪ね質問状を提出、現場を視察しました。
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 同センターを設置したのは、県中部の二市十町で構成する県央県南広域環境組合。市民の反対を押しきって、「一日三百dの処理能力をもつ最新技術の施設」として建設しました。
 しかし、稼働して三カ月間のごみ処理実績は規定能力を大幅に下回り、ピット内に五千d近いごみが滞留し周囲に異臭を放つ事態となっています。六月末からは、長崎市の施設に毎日七十d搬送し代替処理しています。 質問状は、関係する自治体の党議員七人連名で、組合管理者・吉次邦夫議長(諌早市長)に対し出したもの。
 質問内容は、性能通り一日三百dの処理ができていれば今回の事態にはならなかったとして、「処理できなかったのはなぜか、今後の見通しはどうか」「メーカーにはどう対応したか」「性能保証に関する『覚書』はどうなっているか」など八項目です。
 応対した同組合の高田徳一事務局長(諫早市生活環境部理事)は、性能通り処理できていないことについて、「一日処理量を二百二十一dで計画した」「運転技術者の技術が未熟」「搬入量が予想より多く、燃えにくいものや産廃ゴミが含まれている」などと回答。一日三百dの処理能力が契約の大前提であるのに、実際には「フル稼働は想定外」として試験運転の結果をうのみにし、性能を過大評価していた可能性を伺わせました。
 また、環境組合と諫早市の間で交わされた協定書に明記されている、「施設の性能保証についての『覚書』」について、「メーカーに関することがあり、市に渡していない。市当局が請求しても出せない」とのべ、市民の利益よりメーカーの立場を擁護する姿勢に終始しました。
 視察した議員団からは、「助燃材の液化天然ガス(LNG)を大量に使い、処理実績を必死であげているのではないか」「メーカーへの対応の内容がはっきりしない」「市民の反対をおして建設を強行し、問題が起こったら技術者や搬入ゴミのせいにするのはおかしい」などの感想が出されました。
 日本共産党の木村和俊諌早市議(同環境組合委員)は、「わが党はこれまで、採用メーカーのガス化溶融方式が実験段階の技術であることや、『大量収集・大量焼却はゴミ減量に逆行する』などとして大型ゴミ処理施設建設に一貫して反対してきました。建設がらみの疑惑も含め、事実を市民の前に明らかにするためがんばりたい」と話しています。

「しんぶん赤旗」2005/7/30