2005年7月26日(火)「しんぶん赤旗」

諫早湾干拓

さらに73億円増

政府の答弁書で判明 2500億円突破


 ムダな公共事業の典型である諫早湾干拓事業の総事業費が、三年前の計画変更からさらに七十三億円増え、現在二千五百三十三億円にのぼることが明らかになりました。日本共産党衆院議員の赤嶺政賢、高橋千鶴子、吉井英勝の三氏が提出していた質問主意書に対し、政府がこのほど答弁書で示したもの。

 諫早湾干拓事業の総事業費はこれまで二千四百六十億円とされていました。事業再評価委員会から事業の見直しを求められ、二〇〇二年に計画変更した際の額です。それ以降も、計画外の工事や調査をしていましたが、事業費がどうなっているか明らかにしないままでした。

 事業費が増えたのは、調整池の水質保全対策費などが主なものです。しかし調整池の水質は一向に改善されず、有明海の漁業環境も悪くなっているのが現状で、事業費がこれ以上増えないという保証もなさそうです。

 一九八六年の着工当初、千三百五十億円だった総事業費はすでに、二倍近くにふくらんだ勘定になります。

 当初計画では二〇〇〇年度の完成予定が、〇六年度にのび、さらに答弁書では事業完了を〇七年度に想定していると答えています。

 事業目的は全く失われていますが、税金を投資しただけの効果が期待できるかどうかの「費用対効果」は〇二年の時点で、農水省の算定でも〇・八三です。事業を続ければ、四百三十億円の損失になります。

 分母になる総事業費が増えるほど費用対効果はさらに小さくなり、損失はさらにふくらむことになります。