被爆体験者医療、「元に戻す方向でがんばりたい」と伊藤市長が答弁 −党中田市議の質問に−


 開会中の定例長崎市議会で十日、質問に立った日本共産党市議団(山本誠一団長ら五人)の中田ごう市議は、六月から実施された「被爆体験者医療給付制度」の大幅改悪を取り上げ、被爆市の市長の見解を求めました。 同市議は、対象疾病の限定や精神科医による意見書提出期間短縮・有料化、予算削減など、「制度をおおもとから改悪するもので国のやり方に怒りを覚える」と指摘。「被爆者援護法の全面適用こそ必要であり、制度を元に戻すか、被爆者と同じ扱いにすべき」と提起しました。
 伊藤一長市長は、「国の制度改悪はもってのほか。元に戻す方向でがんばりたい」と、今後の取り組みへの決意をのべました。
 同日、「被爆住民の支援施策拡充」を市に陳情した、長崎被爆地域拡大連絡会の峰松巳代表世話人AKは、「制度を後退させたくないとの市長の思いは被爆者の意をくんだもの。長崎市や県、関係六町の首長、議長らがいっしょになって『被爆者はどこにいても被爆者』の思いでがんばってきたことを思い起こし、援護法の目的に沿った拡充に努力してほしい」と語りました。
 被爆六十年。被爆者の高齢化は、「生きているうちに被爆者として認めてほしい」との思いをいっそう切実にしており、今回の制度後退は「被爆体験者」に二重、三重の精神的苦痛を背負わせるものです。
 日本共産党長崎市議団は先月、被爆地域住民らとともに厚生労働省に出向いて制度改悪中止を要求。また、赤嶺政賢衆院議員は十日、「制度を被爆体験者の声も聞かず、大きく後退させる理由は何か」「制度の目的を変更したのはなぜか、精神科医の診断を年一回に短縮した理由は何か」など、被爆体験者の医療制度改定に関する質問主意書を河野洋平衆院議長に提出しました。