「佐賀漁民の訴え聞いて」
諌早湾干拓工事再開に抗議し、長崎市内を行進
            「しんぶん赤旗」2005/6/9


 「宝の海を子どもたちに」と、のぼり旗をかかげ、そろいのTシャツで訴える漁業者の声が七日、長崎県庁周辺の繁華街に響き渡りました。
 諫早湾干拓事業の工事再開に抗議する座り込みに参加した、「佐賀有明の会」(川崎賢朗会長、八百人)の漁民五十数人が、「漁民を見殺しにする諫早湾干拓は必要なのか、長崎県民に呼びかけたい」と、車両二十五台を連ねかけつけたもの。
 川崎会長は、「『ノリは獲れた』というが、色落ちで質が低下した安価なノリ、漁期をのばして量を確保しているだけ」と実情を訴えます。
 道行く市民は、開門調査への理解と支援を訴えるデモ行進を見て、「佐賀の漁民がいうことはよくわかる」と声を交わしたり、カンパを手渡すなど注目の眼差しです。
 鮮魚の行商をしていた女性は、「諫早湾を閉め切ったから魚の産卵場所がなくなった。橘湾でも影響があると漁師は言っている。干拓はやめるべき」と支援の声をかけていました。
 長崎県庁を訪れた漁業者は、金子原二郎知事に対し「国に中・長期開門調査を求める要請書」を提出。「新幹線やハウステンボス再生で佐賀県民に理解を求める長崎県が、なぜ漁業者の声には耳をかさないのか。水産県の姿勢とは思えない」と、佐賀県漁民の思いの丈を訴えました。
 これに先立ち同会の代表は、工事再開の「抗議書」をたずさえ農水省・諫早湾干拓事務所(諫早市)に出向きました。事前の連絡にもかかわらず金網製のゲートを閉鎖したままの応対に、「漁民を人間扱いしない態度だ」と厳しく抗議。しぶしぶゲートを開けた木下博之次長に堂々と抗議文を手交、福岡高裁も求めた「中・長期開門調査」の早期実施を迫りました。