被爆体験者への医療費給付事業
「国に改定中止を求めよ」と長崎連絡会が長崎市と県に要請


 爆心地から半径十二`以内の地域で原爆に遭ったのに、被爆者として認められていない「被爆体験者」への「医療費給付事業」改定問題で、長崎被爆地域拡大連絡会(峰松巳代表)は二十五日、長崎市と県に、「被爆体験者支援事業の後退は許されない」と、六月実施の中止を国に求めるよう要請しました。
 現在の長崎市矢上町や戸石町、深堀町、茂木町、香焼町、伊王島町など、被爆未指定地域の「被爆体験者」ら約二十人が参加。被爆体験を語り「援護法に基づく事業拡充こそ」と訴えました。
 戸石町で被爆した古木泰男さん(74歳)は、「空が真っ暗になり黒い燃えかすや灰がばらばら落ちてきた。(制度の)一方的改悪でなく被爆者の声を反映してもらいたい」と被爆者の思いを証言。
 今月二十日に市から「改定」の説明を受けたという北川吉雄さん(65歳)‖矢上町で被爆‖は、「説明の十日後に実施とはムチャクチャ。対象者に納得してもらう期間設置が当然で、強行は混乱を招くだけ」と懸念をのべ、六月一日実施中止を求めました。
 市役所では同市の山本正治企画部長が対応、「要請の主旨はわかる。正確に市長に伝える」と答えました。
 「改定」は、交付対象を県内居住者に拡大する一方で、予算を三五%削減して対象疾病を大幅に限定、手続きも繁雑化する内容。三年前の制度実施でやっと医療費給付の対象となった「被爆体験者」が再び除外されたり、新たな精神的苦痛は必至と指摘されています。