原爆症認定訴訟
残留放射能は重要な被爆要因
 立命館大学・安斎教授が証言
                  「しんぶん赤旗」2005/5/26

 「政府は原爆被害から目をそらすな!」。長崎地裁だけでも二十九人が提訴している原爆症認定集団訴訟の第十四回口頭弁論が二十四日、同地裁で開かれ、九人の原告が参加(写真)。被爆の実相を無視した認定実態にかかわり、立命館大学の安斎育郎教授(放射線防護学)が「放射線の影響」について証言しました。
 支援する会の被爆者や市民ら約六十人が傍聴席を埋め、証言に聞き入りました。
 安斎氏は、「(直爆以外の)残留放射能による影響は、入市や遠距離被爆者にとってもっとも重要な被爆要因であり、無視できない」と、繰り返し指摘しました。
 同氏は、被爆から一ヵ月半後に入市した米海兵隊員に「多発性骨髄腫」が発症している調査結果を紹介。さらに「長崎原爆では『死の灰』が爆心から十一`位まで降っても不思議ではない」とのべ、「黒い雨や未分裂の放射性降下物が、飲食や呼吸などで体内に取り込まれ、放射線の種類によっては特定臓器に沈着し生涯放射線を出し続ける」と証言しました。
 安斎氏は、原爆症認定審査で国が固執している「DSヲ」評価方式について、「遠距離被爆の評価には役立たず」「直爆以外の被爆要素への考慮がない限り、(原爆症認定基準として)きわめて不正確」とのべました。
 同訴訟は、九月から十月にかけ原告本人への集中尋問となる予定。