対馬市議選は15日告示
公共事業だのみやめ、住民の声生かす
新市政を監視、武本候補


 国境の島・長崎県対馬の六町が、昨年三月に合併して誕生した「対馬市」の初めての市議会議員選挙(定数二十六、六十四減)が、五月十五日告示・二十二日投・開票で実施されます。
 日本共産党から、武本哲勇(たけもと・てつお)候補69歳‖現、前上対馬町議‖が立ち、必勝を期します。
 同市は人口約四万、南北八十`、東西十四`に及び、豊かな漁場と山々の自然を生かした漁業・林業の島です。しかし公共土木事業への依存度が高く、「基幹産業対策はおざなり、市の将来はどうなるのか」(厳原の漁民・男性)と、特定業者と行政の不明朗な関係を指摘する声が少なくありません。
 過疎化がすすむ広大な島の合併。当初から市役所の場所さえ決まらず、いまも本庁は厳原、教育委員会は上対馬、議会は豊玉と旧町の思惑が入り乱れたままです。
 合併直前には、旧町の基金を取り崩した「駆け込み事業」が相次ぎました。その一つ、約十八億円をかけた温泉総合保養施設「湯多里ランド」(写真・旧美津島町)はわずか二年で休止。第三セクターの経営責任も不問のまま。赤字を市民の税金で穴埋めする一億二千五百万円もの補正予算に、武本市議以外、全議員が発言もせず同調しました。
 この磯での魚釣りが一番の楽しみだったという近くの男性は、「いまの市政は黒い霧だらけ、何をやっとるかわからん。魚は釣れん」と、コンクリート化した釣り場を嘆いていました。
 合併から一年余、「暮らしや福祉の後退が心配」(峰・女性)「合併でよかったというものはありません」(厳原・商店主)との声も。すでに、高齢者の無料バスや高校生の通学費補助が廃止され、保育料の大幅値上げ、大型店侵出に苦しむ地元商工会への補助金カットなど、市民の負担増が相次いでいます。日本共産党が一月に実施した市民アンケートにも、「海・空の運賃引き下げを」「業者指名を明朗に」「国民健康保険税の引き下げ」など切実です。
 上対馬で出会った男性は、「合併で過疎化と高齢化が加速することになるのでは」と、見えてきた不安を口にしました。
 市民にとって、合併後のこうした時期だからこそ、「市民の声でズバリ発言できる人」「税金のムダ遣いを許さず市政を監視できる人」が議会に必要です。
 武本市議は、「旧六町の良さを生かし、それを全市に広げた市政こそ必要」といいます。@市民の声をよく聞く、A市政の実態を「対馬民報」で知らせる、B公共事業のムダな部分にメスをいれて暮らしと福祉を守る」が公約です。
 しかし厳原から上対馬までは車でも二時間。選挙区が広大なうえ、支援が受けにくい離島のハンディは大きく、活動は立ち後れています。
 告示目前。五十一人(現四十三、新七、元一)が立候補を予定。