長崎遺跡講演
「長崎市は近代化遺跡の宝庫」。野外博物館をつくろう


 「長崎の自然と文化を守る会」(会長・東幹夫長崎大学名誉教授)は七日、出島和蘭商館跡ヘトル部屋(長崎市出島町)で定期総会を開き、長崎大学附属図書館長の岡林隆敏教授(工学部)が、「長崎市の近代化遺産を考える」と題して講演しました。
 岡林氏は、「(長崎市は)身近な市街地に石畳や珍しい側溝など、多くの近代化歴史の遺構が残る貴重な地域」と強調。資料のスライドも使って、「土えん堤の近代的水道施設『本河内高部ダム』」「自然の地形を使った『小菅修船場』」「日見トンネル以前の『切り通し道路』」「中島川河口を出島の裏側に移した『変流工事』」など詳細に解説しました。
 同氏は、日本の近代化を支えた建造物文化財を残し活用するため、「近代化遺産野外博物館を」と呼びかけました。
 約四十人の参加者は、熱心にメモを取りながら、日ごろ何気なく見過ごしている街の貴重な歴史遺産に、改めて深い関心を寄せていました。
 参加した男性の一人は、外国人居留地を中心に伝染病対策として造られた長崎の下水道の存在を知り、「『地獄川』『しととき川』がいまも残っていることを初めて知った。ぜひ行ってみたい」と話していました。