ダイエー閉鎖問題 地元では…

 再建中の大手スーパー、ダイエーの閉鎖対象とされている店舗の地元では、住民、自治体、商店街・経済界をあげて存続を求める声が大きくなっています。  (「しんぶん赤旗」西部総局 山本弘之)
                        「しんぶん赤旗」2005/4/29
    
 存続求める署名も
 ダイエーは、支援企業に大手商社丸紅が決まり、五月には会長林文子氏、社長樋口泰行氏の新体制がスタートし、再生に向けて動きが本格化します。一方、閉鎖対象店舗が報じられて二カ月以上がたつのに、地元自治体へ方針提示がないことへの不満があがっています。
 「地元に不可欠の店舗」「協議もなしに、一方的な閉鎖は認められない」と存続を求める署名運動も大きく盛り上がっています。

活性化へ力合わせ
佐世保
 ダイエー佐世保店(長崎県佐世保市)は、戦前から市民の台所と親しまれた戸尾(とのお)市場街の一角にあり、共存共栄してきました。
 ダイエーを出てきた七十歳女性は訴えました。
 「冷凍食品や調味料、お肉や魚をまとめて買うときは、ダイエーで買うし、市場では新鮮な魚をみながら、今日はこれにしようかと。どっちもないと困るのよ」
 戸尾商店街連合会の本田富男会長は「ダイエーがなくなれば、人通りが減る。お年寄りは、遠くのジャスコまで行かなければいけなくなる」と語り、「一致団結して、活性化を考えていかないといけない」と厳しい表情を見せました。
 
市長も上京、要請へ
久留米、荒尾
 福岡県久留米市、熊本県荒尾市では、すでに署名運動が広がり、両市長がそれぞれ上京し、産業再生機構とダイエーに存続を要請しています。
 久留米市は、市長が二十七日、再度上京し、存続を再要望しました。
 ダイエー六ツ門店(久留米市)、荒尾店(荒尾市)は、地域商店街の核であるだけでなく、周辺には「生鮮三品」といわれる肉屋、魚屋、八百屋がほとんどありません。
 両市の商工担当者は「住民の生活にとってなくてはならない店舗」と口をそろえます。
 荒尾市では、ダイエー店舗がある小学校区の人口の半分以上の署名が集まり、署名三千百五十一人分が前畑淳治市長に提出されています。
 久留米市では、署名数が一万七千人余にのぼりました。五日に署名が提出され、江藤守国市長は「今月中にも再度上京し要請したい」と応じました。
 地元の六ツ門商店街の黒川幸治理事長は「市民の声を届けたい一心」といい、「高齢者や車を持たない交通弱者にとって、経営側が利便性だけを追いかけたやり方がいいのか。街が壊れるというか、街に根付いていたものが壊れるようなやり方がどこまで続いていくのか」と語りました。
 ダイエー六ツ門店が入居しているビルの管理会社、久留米市、商工会議所は、存続のために協力を惜しまない姿勢で、家賃引き下げの検討も始めています。
 しかし、「ダイエー側からいつまでにどうしたいという意思表示がない」(久留米市)といいます。