「加用労災」で三菱重工が謝罪し損害賠償
「多くの方との出会い励ましが家族の宝」と、加用さん心境語る
                 「しんぶん赤旗」2005/4/30

 元三菱重工長崎研究所室長・加用芳男さんが、「急性心筋梗塞(こうそく)で重い脳障害を負ったのは、過重労働が原因」として、同社に対し、謝罪と損害賠償を求めていた労災事件で、三菱重工は全面的にこれに応じ、双方の和解合意が成立しました。
 二十六日、加用さんと妻・豊子さんが代理人とともに会見で明らかにしたもの。三菱重工は、「疾病原因は業務であり、安全配慮義務に違反した」ことを認めて謝罪、従業員の健康管理に努力するとして賠償に応じました。また、当時の上司・同僚三人の謝罪する旨の文書を交付しました。
 芳男さんの発症から十一年間、たたかいを担ってきた豊子さんは、「加用芳男がなぜ倒れたのかを公の場で明らかにし、会社の責任を問いたいと思ってきましたが、全面的な謝罪と関係上司・同僚の謝罪文をいただき、私たち家族のたたかいに終止符を打つことにいたしました。多くの方々に支え励まされてここまでたどり着けたことが一番の宝です」と、いまの心境を語りました。
 三十年前、三菱を相手に裁判をたたかった経験をもつ古木泰男さん は、「裁判を経ず三菱に謝罪させたことはすごいことです。カネは積んでも謝罪しなかった会社ですから。この成果が働く人たちに広がることを願います」と、喜びの声を寄せました。
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@加用労災とは@
 年三千時間を超す長時間・過密労働で疲労こんぱい状態のなか、一九九四年一月テニス練習中に発症、低酸素脳症で重度後遺障害を負った。長崎労働基準監督署は「労災申請」を却下。この取り消しを求めた加用労災裁判で長崎地裁は二〇〇四年三月、労災不支給処分を取り消しその後判決が確定。三菱の申し出により和解交渉が行われた。