諫干八年、潮止め八年
「干潟を守る日2005IN諫早」集会。漁民らが深刻な被害の実態を報告。


 十六日、長崎県諫早市で開かれた「干潟を守る日2005IN諫早」集会。現地報告を行なった高村暎氏(「よみがえれ!有明海訴訟」を支援する長崎の会事務局長)は、海底の耕うんや覆砂、海水攪拌装置など、国が今年度三十四億円を投じて実施しようとしている有明海「再生」事業の内容を紹介。「『再生』策の効果はあるのか」との質問に、国は、「あるかないか確かめたい」というだけで答えられなかったと報告しました。
 パネルディスカッションでは有明海沿岸の漁業者四人が現状を報告。
 島原市で漁船漁業を営む中田猶喜さんは、「二年前から『謎の浮遊物』が現れ、その二〜三週間は網が引き上げられず沖で漁ができない。浮遊物は必ず調整池の水を排出した数日後に現れる」と証言しました。
 有明町の松本正明さんは、「潮受け堤防による閉め切りの前後十年をくらべると漁獲は三分の一に激減。有明海にとって干潟と潮汐・潮流が一番大事」と強調。荒尾市のノリ漁民・前田力さんは、「年々漁期が短くなった。閉め切り前四十人いた漁業者が十八人になった、後継者はいるのに継いでくれといえない」と心中を吐露しました。
 佐賀・大浦漁協の大鋸武浩さんも、「漁船漁業は低迷、ノリの色落ちも年々早まっている。生活の糧だったアサリは今年は全滅。三年ごとに入れ替えていた砂はいまは一年で真っ黒」と告発しました。
 参加した漁民と市民、研究者らは、深刻化する漁業被害の報告に共通して怒りを新たにし、「一日も早い排水門の開放、潮流・潮汐の回復を信じてがんばりたい」との漁民の決意に共感の拍手を送っていました。