2005年4月9日(土)「しんぶん赤旗」

受注実績で献金額

自民党長崎県連事件 ゼネコン供述で判明

拒否すると「仕事いらないね」


 県発注公共工事の受注実績に応じ、数式もつかって献金額を決めた。献金をしない企業は工事受注はできなくなった――。自民党長崎県連の違法献金事件をめぐりゼネコン関係者や自民党県連幹部(いずれも当時)らが検察側にそんな供述をしていたことがわかりました。献金が工事受注の見返りであることをゼネコンがみずから証言したものとして注目されます。



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 同事件をめぐっては、市民団体「株主オンブズマン」などが五洋建設元社長などを相手取り、違法な献金で会社に損害を与えたとして損害賠償請求を求める訴訟を〇三年八月に東京地裁などにおこしました。同事件をめぐるゼネコン関係者らの供述調書は、この訴訟のなかで証拠として提出されたもの。「株主オンブズマン」はこれらの供述調書をまとめて準備書面を提出しています。

 供述調書によると、同党長崎県連幹事長(県議)は、金子原二郎知事が再選をめざした二〇〇二年の県知事選で選挙費用の半分、五千万円をゼネコン各社から集めることを決定。そのため、同幹事長は金子県政一期目の四年間における県公共事業の受注実績に応じて各ゼネコンの献金額を決めるとともに、その献金依頼を県建設業協会中央支部にさせることとした、としています。

 受注金額がダントツに高い四社のうち、若築建設の例年の献金額が五百万円でした。このため、受注金額が同社と同程度の大林組、鹿島建設もふくめ、三社を五百万円としました。受注金額がほぼ倍の五洋建設は一千万円としました。

 大豊建設の長崎営業所長は供述調書のなかで、中央支部事務局長から「金子県政四年間で二十社に約五百三十億円の仕事を出したので、受注実績の0・1%の目安で献金を実施してほしい」との要請があった、とのべています。

 不動建設の長崎営業所長は供述調書で、別項のように受注額に応じた額を算定する数式を使い、献金要請に応じる稟議(りんぎ)書を出したとしています。

 五洋建設長崎営業所長の供述調書には「自民党長崎県連の寄付の要請を断って、それ以来、工事が受注できなくなった会社があるという噂があった」と危機感を表明しています。

 実際、大成建設の九州支店営業部長は供述調書のなかで、献金もパーティー券購入も拒否すると、「大成さんは仕事はいらないのだね」といって自民党県連幹事長から脅され、その後受注できなくなったと語っています。

 自民党長崎県連違法献金事件 二〇〇二年二月の県知事選の際、現職知事を当選させるため、同党長崎県連の幹事長(県議)と事務局長が、県発注工事を受注しているゼネコン各社に選挙資金を要求、公職選挙法違反(特定寄付の禁止)や政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪に問われました。市民団体、「株主オンブズマン」と「政治資金オンブズマン」は「違法な献金で会社に損害を与えた」として五洋建設、熊谷組、若築建設の当時の社長らに計約三億四千万円の賠償を求めて東京、福井、福岡の各地裁に提訴しています。