諌早湾干拓について、島原で報告集会
「漁獲は減る一方、異変は広がる一方」、漁民ら広がる被害実態訴え
  
                       「しんぶん赤旗」2005/4/5

 諫早湾干拓「工事差し止め」や深刻な漁業被害で、争われている「福岡高裁抗告審」と「公害等調整委原因裁定」の現状について、長崎県島原市で一日、報告集会が開かれました。
 有明海の再生をめざす島原・南高住民の会が、「裁判と原因裁定に勝利し、水門開放実現で再生への大きな一歩を」と準備したもの。同市や有明町の漁民ら約四十人が「宝の海」再生へ決意を新たにしました。
 裁判が続いている間にも深刻化する漁業被害について漁民は、「ロープや網などの漁具に絡まる浮遊物や汚れが増え、いまは有明海全域に広がった」「漁のできる日が目立って短くなり、漁獲は閉め切り前の一割、良くても三割」「台風の後は良く取れていたが、今は逆だ」(漁船漁業者)などと報告。ノリ漁民からも、「南部排水門からの排水が増え臭いもひどい、生産量が減り成長不良で質も落ちた」との訴えが続きました。
 農水省がおこなう海底耕作などの「再生策」にも、「『漁業被害と干拓の因果関係はない』といいながら、なぜ再生策なのか」「ガンの治療に風邪薬を飲ませるようなもの。事業完成後はそれもしなくなる、子どもだましだ」と批判、不信感をあらわにしました。
 親の代から百年以上、島原沖での漁獲の変化を見てきたという男性は、「海の異変の犯人は諫早干拓!まちがいない」と語りました。
 「よみがえれ!有明海訴訟」を支援する全国の会の岩井三樹事務局長は、「(農水省は)裁判や原因裁定で敗北しても、水門開放を拒否して事業完成にしがみつき、『エセ再生策』でカネをばらまき、権力で自治体や漁連取り込みをはかっている」と指摘。「いま、有明海再生へふみ出せるかどうか最大の山場を迎えている」として、「公正な決定」を求めるハガキ運動や署名、宣伝活動に全力をあげようと訴えました。