アメリカのベイ博士が講演

 サンフランシスコ湾で湿地の保全・再生に取り組んできた米国のピーター・ベイ博士の講演会が二十五日、長崎県諌早市で開かれ約百五十人が参加、有明海と諫早干潟再生の展望をともに考えました。
 諫早干潟緊急救済本部や「有明海訴訟」を支援する長崎の会など八団体による実行委員会が主催したものです。
 ピーター・ベイ博士は、「適切な潮流と連続的な土砂(潟土)供給があり、水質管理をきちんとすれば、不可能と思われたところでも再生は可能」と、体験してきた数多くの湿地再生の事例を報告。成功に必要なこととして、@独立した多くの科学者の参加 A監視役としての市民の系統的参加 B地域全体の生態系を考えた復元計画 の三点をあげ、「(いまは)湿地再生の時代」と強調しました。
 ともに講演した元ラムサール条約事務局アジア担当官の小林聡史氏(釧路公立大学教授)は、湿地や干潟の価値を理解することの重要性を強調し、世界各国の賢明な利用例を紹介しました。
 参加者は熱心にメモをとりながら聞き入り討論にも参加。漁業者からは、「開発続きで漁民は泣かされ、海は年々弱っている」と、深刻化する有明海異変の現状を報告、中長期開門調査の早期実施を訴えました。
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 サンフランシスコ湾の湿地回復プロゼクト‖ピーター・ベイ博士は、サンフランシスコ湾の回復計画に携わりました。この計画は、「いかなる埋め立ても害がある」とする市民の反対運動から広がり、一九六五年に湾を守る法律が制定されすすめられたものです。

サンフランシスコ湾の湿地回復に学び、諫早干潟再生への展望を考える

「しんぶん赤旗」2005/1/28