長崎県にも民主県政を
長野県政と長崎県政を学び、県政の転換めざそう
 「民主長崎県政をつくる会」が学習会と総会

 2005年1月22日、民主長崎県政をつくる会(横山茂樹代表世話人外)は長崎市内で、学習会と総会を開きました。

 長崎県政の現状と問題点について、中田晋介県議が報告しました。(記事の下に要旨を掲載)
 中田氏は金子県政が県民のくらしの予算を、高田県政の43%(予算全体にしめる教育民生費など)から35%に後退させている。比率を元に戻すだけで、592億円をくらしのために使うことができると強調。さらに、財政難の中で、諌早湾干拓、本明川ダムなど大型事業をごり押ししている実態を告発。「県政を転換しよう」と呼びかけました。

 長野県革新懇の山口光昭代表世話人は、田中知事のもとで、県政がどのように変わったかを詳しく話しました。
 山口氏は「脱ダム宣言」に象徴される、くらし優先の県政のもとで、土木費が大きく削られる一方、教育費が増額され30人学級を実現している様子などを紹介。
 また、前保守知事がつくった多額の借金を、支出のムダを省きながら減らしていること。それにより、「県債の利息を1日あたり3299万円減らすことができた」と語ると、会場から驚きの声があがりました。
 同時にこうした変化は田中知事一人が実現したことでなく、県民が力を合わせた結果であると述べました。
 
 2人の講演のあと総会にうつり、深町孝郎事務局長が今後の活動方針と新しい役員体制を提案して、承認されました。
 

講演する山口光昭氏

長崎県政の現状と問題点  
             2005年1月22日 県議会議員 中田晋介         

                                      
1.削減された暮らしの予算  おくれている施策

             生活福祉費 環境保健費 教育費   計   土木費  公債費
久保県政1975年   10.4%      5.4%    37.6%   53.4%    13.2%   3.2%
高田県政1982年    8.6%      6.0%     28.3%  42.9%    17.7%   6.6%
金子県政2004年    9.0%      3.8%     22.2%  35.0%    15.8%   14.5%
    ※04年度の県予算総額は7500億円。暮らしの予算を高田県政の割合まで復活すれば7.9% 592億円が使える。
少人数学級 全国36県で実施。九州でも大分で「小1で30人以下」等、鹿児島、宮崎、熊本、沖縄で実施中。佐賀は新年度から実施。福岡と長崎は研究指定校のみ。県教委は佐世保事件の対策として「少人数学級編成の研究」と掲げている。小中学校全学級で30人学級を実施すると110億円かかる、と試算を発表している。
乳幼児医療費助成 入院・通院とも就学前までが9県、通院が就学前が22県。長崎県は入院6歳未満、通院3歳未満でおくれている。2億6千万円あれば入院・通院とも就学前まで、助成対象を拡大できる。
 給付方式は、すべて現物給付が22県、一部現物給付が12県。償還払いが12県、長崎は償還払い。
市町村国保への県の補助金 2000年度・長崎1000万円。滋賀4億9600万円、奈良4億7600万円、群馬4億7千万円、岐阜3億5千万円、山口2億8200万円、山梨2億7700万円、茨城2億3千万円
財政破綻  収入の13.9% 支出の14.5% が借金。借金残高は当初予算の16.5月分、四人家族で274万円。公債費が一般財源にしめる「公債費負担比率」が危険ラインの20をはるかに越えて23.7に悪化。中期財政見通しでは、04年度末408億円の財政調整三基金が07年度にはゼロになって赤字財政へ転落。

2.今後の大型事業計画

1.諫早湾干拓事業 総事業費2460億円 県負担423億円(プラス起債利息)有明海漁民106人の訴えに応え佐賀地裁が仮処分決定(04年8月26日)「漁獲高の減少など、有明海漁業に極めて 深刻な被害が出ている。農水省が設置したノリ不作等検討委員会は、干拓事業が有明海全体の環境に影響を与えていると 想定される、と指摘した。干拓事業が漁業被害に寄与している因果関係の証明はある。漁民の損害を避けるには、干拓事 業全体を再検討し修正をほどこすことが必要。その間工事を差し止める」 県は工事推進を要請し、国は異議申し立て。 05年1月12日 佐賀地裁が異議申し立てを却下、漁業被害を出さない形に事業の修正を重ねて求
めている。
2.長崎新幹線 総事業費2700億円。地方負担は全国新幹線鉄道整備法で「それぞれの県でかかった工事費の3分の1」 と決まっている。長崎県312億円、佐賀県182億円。
 来年度の整備新幹線建設問題で、金子知事が「建設費の佐賀県負担分を、長崎県が一部肩代わりして負担することを検討 したい」と県議会で表明。「なぜ、よその県の負担金まで負担しなければならないのか」と県民の批判が高まっている。 負担変更は法改正が必要で、長崎県知事の一存で変更する事はできない。長崎県の財政が、数年後には赤字団体になりか ねない危機的な状況にある時に、法律にもない金をだして佐賀県の賛同を取り付けるやりかたは許されない。
 国土交通省の発表では、長崎−博多間の特急の所要時間は現在1時間47分。新幹線のスーパー特急なら1時間24分で、 短縮時間はわずかに23分。しかも博多で乗り換えが必要。莫大な地方負担にくらべて効果はすくなく、在来線切り捨てによる被害も大きく、慎重な検討が必要。
3.国営本明川ダム 780億円 県負担50億円 水道事業2市6町負担160億円。諫早大水害のあと80年に一回の洪水を想定して川幅をひろげて河川改修。その堤防完成は現在41%。あとは暫定堤防。 1991年に100年に一回の洪水(諫早大水害程度)に想定を変更、洪水調節と県南部広域水道のためダム建設が必要とされ、現在「河川整備計画」が検討されている。これから環境影響評価をへて「ダム建設基本計画」が決定される。
 治水=ダムによる洪水調節は裏山橋の基準点で、260立方メートル/秒、水位を60p下げる。→河川改修と緑のダムで。利水=長崎、諫早、多良見、飯盛、長与、時津、香焼、琴海の2市6町へ日量25,000立方米給水。→人口減で不要。
4.西彼杵高規格道路 西彼杵半島に長崎−佐世保を結ぶ4車線の自動車専用道路(一部有料)をあらたに建設する。総工事費は概算で3800億円。建設中の第二西海橋だけで97億円。長崎市大波止から駅裏の浦上川左岸を通り、原爆病 院横から浦上川底をトンネルでくぐり、油木からトンネルで滑石に出て時津を経由、第二西海橋から江上バイパスをへて佐世保に至る。目的は長崎−佐世保間の時間短縮と西彼杵半島振興。
5.県住宅供給公社再建に債務免除25億7千万円、新規融資57億円
 県が設立した長崎県住宅供給公社の経営が一昨年末破綻。公社の申し立てで、債権者である13金融機関と県および公社 が、裁判所を交えた話し合いで公社の再建策をつくる「特定調停」の協議が、一年間長崎地裁でおこなわれてきた。合意が得られないため、間にはいった長崎地裁が「調停に代わる決定」を12月20日に出した。地裁の決定は「県があらた に住宅供給公社に57億円を融資して、金融機関に一括弁済する」という、金融機関の意見に沿ったもので、県民に大き な損害を与えかねない内容。
 年末にあわただしく決めてしまおうという知事と自民党にたいし、日本共産党などは決定の 問題点をあきらかにして慎重な審議を要求。自民・公明両党は、追求する側が参考人招致や資料提出をもとめていた審議 半ばに、審議打ち切り・強行採決。年末にわずか3日間の臨時議会で「決定受け入れ」を議決してしまった。
 

「長崎県政の現状と問題点」−中田県議の報告−