「腐乱した死体の臭い、血の臭い、弾薬の臭いこそ戦争のおぞましさ。転がった死体を集め数えた情景こそ帰還後の眠りを妨げた」と証言

 米海兵隊員としてベトナム戦争に参加した経歴をもつ平和運動家、アレン・ネルソンさんIの平和講演会が十一日、長崎市の原爆資料館ホールで開かれ、ベトナム帰還兵として「ほんとうの戦争」の生々しい実態を語りました。「少年・少女平和のつどい・長崎」実行委員会と「アジアとむすぶ市民の会・長崎」が呼びかけたもの。
 貧しさゆえ海兵隊に入ったというネルソンさんは、沖縄・キャンプハンセンでの訓練について、「『だまれ』『口をきくな』と命令に従うだけの毎日、自ら考えることは許されない。一人前の海兵隊員になることは『殺すか、自分が死ぬかだ』と理解することだった」と話しました。
 ネルソンさんは、ベトナム戦争の体験を、「敵は見つけ次第殺した。そこかしこに転がる死体、集めて人数を数え積み上げた。ヘドを吐くそのおぞましさと、腐乱した死体の臭い、血の臭い、弾薬の臭いこそ生涯忘れないほんとうの戦争の姿。これが帰還後の毎晩の眠りを妨げた」と証言しました。
 同氏は憲法九条について、「核兵器や軍隊より強い、平和の宝物」と語りました。
 ネルソンさんは帰還後、十五年間の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を乗り越え、日本全国で講演を行い在日米軍の撤去を訴えています。
平和講演会、ベトナム帰還兵ネルソンさんが戦争の実態を語る
『しんぶん赤旗』04/02/16