日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は十一月二十六日、長崎県対馬・壱岐・五島列島に漂着するゴミ処理対策と同県大瀬戸町松島の海岸のボタ山が長期にわたり撤去されずに放置されている問題について、衆院議長に質問主意書を提出しました。後日、小泉内閣総理大臣から文書で回答されます。

 近年、対馬・壱岐・五島列島地域をはじめ、日本海に面した広範囲な地域では、韓国、台湾、中国製とみられるプラスチック、発砲スチロール、ペット・ボトル、ポリ容器等が、冬場に大量に漂着しています。該当の自治体では地元漁協やボランティアの協力を得て、処理をおこなっていますが、処理費用もふくめて大きな負担になっています。

 主意書では、国はこうした実態を把握しているのか、海岸線の漂着ゴミ処理対策を一地域・一地方自治体の問題にとどめることなく国の責任において対策を講ずるべきではないのかとただしています。

 ボタ山問題では、同町の西泊海岸に大瀬戸町、崎戸町の旧炭鉱のボタ捨て場より流出したボタと洗炭業者が海岸に放置したボタが二ヶ所にわたり山積みされ、そのボタが、港、海岸部に漂着。堆積(たいせき)して陸化した箇所には、水たまりができるなど悪臭の発生源にもなっています。ボタの流出によって、漁獲量の減少など漁場にも悪影響を及ぼしています。
 
 主意書では、国として実態調査をおこない、国の責任においてボタ山の早急な撤去と流出対策を講ずるべきではないのかとただしています。

写真 質問主意書提出に先立ち、国の対応について説明を受ける赤嶺議員(正面左)、仁比聡平議員秘書、渕瀬栄子大瀬戸町議(正面中央)=十一月十一日、衆院第一議員会館

長崎県の離島の漂着ゴミ、ボタ山撤去

赤嶺衆議議員が質問主意書を提出

長崎県対馬・壱岐・五島列島の漂着ゴミ処理対策並びに長崎県大瀬戸町松島海岸地区のボタ山の撤去に関する質問主意書

 長崎県対馬・壱岐・五島列島に漂着するゴミ処理対策問題、また同県大瀬戸町松島の海岸のボタ山が撤去されずに放置されている問題が、長期にわたり解決されずに今日に至っている。長崎県は、かねてから国に対して解決方を要請しているが事態はいっこうに進展をみていない。これらの問題に対する対策は緊急を要すると考える。
従って、次の事項について質問する。

一、長崎県対馬・壱岐・五島列島の漂着ゴミ処理対策について
1、韓国、台湾、中国製とみられるプラスチック、発砲スチロ−ル、ペット・ボトル、ポリ容器等が、対馬・壱岐・五島列島地域をはじめ、日本海に面した広範囲な地域に北西の季節風が吹きつける冬場に大量に漂着するようになって4年目になるが、このような実態を把握しているか。

2、かかる原因不明の漂流、漂着ゴミについては、廃棄物処理法の位置づけは明確ではなく、地元漁協やボランテアの協力を得ながら当該市町村において回収、処理を行なっているのが、その量が膨大になれば対応は難しいだけでなく、処理費用の面でも大きな負担となっているのが実情である。
 ついては、海岸線の漂着ゴミ処理対策を一地域、一地方自治体の問題に留めることなく国の責任において対策を講ずべきではないのか、国としても対策を講じているというのであればそれを明らかにされたい。

3、漂着ゴミの回収、運搬、処理についての費用負担について国はどのような措置を講じているのか、漂着ゴミ処理問題は、どこの省庁が所管しているのか明らかにされたい。

4、国は、漂流、漂着ゴミの回収、運搬、処理について、費用負担を含めて処理方針を確立していればそれを明らかにされたい。

二、長崎県大瀬戸町松島海岸のボタ山の撤去について

1大瀬戸町松島の西泊海岸には、大瀬戸町、崎戸町の旧炭鉱のボタ捨て場より流出したボタと洗炭業者が海岸に放置したボタが二ヶ所にわたり山積みされ、岩礁のように四メ−トルから六メ−トルの高さになっている。更にこうして放置されたボタは、港、海岸部に漂着、堆積し、陸上化した場所も生じている。しかも護岸の整備がなされていないことから、これらのボタは波の作用で削られ運ばれることによって、海岸線と陸上の間に水溜りができるなど悪臭等の発生源になっている。
ボタ流出、堆積によって、両町の漁獲量の減少、漁場や地域環境への悪化に多大な影響を及ぼしている。
 本来、洗炭業者が海岸にボタを放置すること自体問題であり、その責任は問われなければならないが、その原因者の行方がわからない。このまま、放置するとボタの流出が進み、周辺地域へと被害、汚染が拡大され漁場の荒廃に拍車がかかり、特に漁業従事者にとっては死活問題となることが懸念される。
例えば、埼戸町阿房下一帯から中戸漁港に至る海岸線約五キロメ−トルにボタ流出が後を絶たず堆積し、漁場等が崩壊している。
国はこのような実態を掌握しているのか。仮に承知しているというのであれば、どのように考えているのか見解を伺いたい。

2、長崎県からも要望がなされていると思うが実態調査をしたのか、いまだ調査をしていないとすればただちに調査すべきと考えるがどうか。

3、大瀬戸町西泊の海岸部は、ボタ流出等により陸上化しているが、当該地域の地籍及び所有権はどこにあるか。陸上化した部分は「海岸」なのか「土地」に該当するのか見解を聞きたい。

4、長崎県及び当該町で対応することは困難であり、国の責任において実施すべきであり、そのためにも所管する省庁を決めて、ボタ山の早急な撤去と流出対策を講ずるべきではないのか。
右質問する。

質問主意書は下に。   「しんぶん赤旗」2004/12/01

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