来年の被爆六十周年を前に、長崎原爆被災者協議会(被災協、葉山利行会長)は二十三日、長崎市で「改めて原爆被害をみつめよう」とシンポジウムを開きました。被爆者や市民ら約七十人が参加しました
 原爆を投下した国が新たな核兵器開発を公言し、日本政府が被爆者対策を直視しないなか、「原爆被害とは何だったのか」「国の対応はこれでいいのか」を問い直そうというもの。原爆症認定訴訟県原告団長の森内實氏と、「語り部」の奥村アヤ子さんが被爆体験を証言、被爆者医療に詳しい山下兼彦医師、山田拓民被災協事務局長がそれぞれ報告しました。
 森内氏は、原爆症認定申請を理由も示さず却下する「審査」のあり方を批判。奥村氏は、「家族だけでなく、私の記憶さえ奪った原爆。心とからだの傷は死ぬまでつきまとい、癒えることはない」と涙ながらに訴えました。
 原爆裁判の歴史を振り返った山下医師は、「原爆症認定要件は放射能障害の有無。(判決からみても)国が認めた被爆者は基本的に何らかの放射能障害があるということ、すべて原爆症と認めるべき」とのべました。
 山田氏は、「被爆者の要求は国際法に違反し原爆を投下した米国の責任と謝罪、その証しは自国の核兵器を廃絶すること。戦争中といえども被爆者をつくった日本政府の責任を曖昧にしてはならない」と強調しました。
 参加者からも、何の根拠も示さず原爆症認定申請を却下することへの怒りの声が相次ぎました。
「原爆被害をみつめ直そう」テーマにシンポジウム 
       …被爆者らが報告…
「しんぶん赤旗」2004/10/27