2004年9月29日(水)「しんぶん赤旗」

国外からの申請認める

韓国人の原告勝訴 長崎市の却下処分取消す

在外被爆者


 国外からの代理申請だったことを理由に被爆者援護法に基づく健康管理手当を支給しないのは違法だとして、韓国人被爆者の崔季K(チェ・ゲチョル)さん=今年七月に七十八歳で死亡=が長崎市長を相手取り、申請を却下した処分の取り消しを求めた訴訟で、長崎地裁は二十八日、原告の申請を認める判決をいいわたしました。田川直之裁判長は「原告が来日できないことについて、市が何らの調査も確認もせずに申請を却下したのは違法」と述べました。

 在外被爆者の国外からの申請を認める司法判断は初めて。被爆者の高齢化が進む中、韓国や米国、ブラジルなど各地で取り残されていた在外被爆者の救済に大きな前進となります。

 田川裁判長は「被爆により被った障害の程度や高齢化により、来日して申請するのが不可能な被爆者が存在することは容易に推測され、救済を目的とする法が、その援護を全く想定していないとは考えられない」と判断しました。

 市側は審査の適正を期すため、来日しての申請が必要だと主張したのに対し、判決は「代理人を通じての確認や資料の提出でも可能」と指摘。さらに原告が来日して申請することが不可能ないし極めて困難かどうかについて、市が何らの調査も確認もせずに却下処分を行ったのは違法と認定しました。

 判決はまた、来日が困難な在外被爆者に対しても、申請書の提出先を居住地の都道府県知事と指定した施行規則五二条一項は「委任の範囲を超えて無効」と判断しました。