2004年8月10日(火)「しんぶん赤旗」

長崎市長平和宣言

核兵器廃絶 米市民へ訴え

非核三原則法制化を要求


 長崎への原爆投下から五十九年目の九日、同市主催の被爆五十九周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が市内の平和記念公園でおこなわれ、五千七百人(第二会場含む)が出席しました。

 伊藤一長市長は「長崎平和宣言」で、米政府による約一万発の核兵器保有と未臨界実験の継続、小型核兵器の開発をあげ、「世界の超大国が、核兵器に依存する姿勢を変えない限り、他の国の核拡散を阻止できない」と指摘。そのうえで米国市民に対し、「人類の生存のために残された道は核兵器の廃絶しかない。ともに手を携えてその道を歩みはじめよう」と初めて呼びかけました。

 世界に向けては、被爆六十周年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向け、「地球市民による連帯の力を結集し…核兵器の廃絶に道筋をつけさせよう」と訴えました。

 日本政府に対しては、「日本国憲法の平和理念を守り、唯一の被爆国として、非核三原則を法制化すべきだ」と迫るとともに、非核三原則と朝鮮半島の非核化を結びつけることで、「北東アジア非核兵器地帯を生み出す道が開ける」と強調しました。

 被爆者代表による「平和への誓い」では、十六歳のときに爆心地から一・四キロメートルで被爆した恒成正敏さん(75)がその体験を紹介。「核兵器と人類の共存はできない。これからも若い世代に、あの日の体験を通して命の大切と平和の尊さを語り伝えていくことを誓う」と結びました。

 小泉純一郎首相は広島の式典と同様、「平和憲法を順守するとともに、非核三原則を堅持していく」などとあいさつ。式典後に開かれた被爆者団体からの要望を聞く会、長崎県・市からの要望を聞く会に今年も欠席しました。