長崎原爆に四人の子どもを奪われ、面影を求めて人形を集め続けてきた夫婦の原爆物語|「よう子ちゃん人形展」が、長崎市平野町の原爆資料館で開かれています。三十一日まで(入館料が必要です)。
 一瞬にして四人のわが子を亡くしたのは、爆心地からわずか百bに住んでいた蔵満良雄さんと妻・モタエさん。自宅で留守番をしていた葉子ちゃん、文子ちゃん、昭治君、邦弘君が犠牲になり、遺体さえありませんでした。
 モタエさんは心の傷から口がきけなくなりました。二人を立ち直らせたきっかけは、数ヵ月後、「葉子ちゃんからあずかった」と届けられた一体の市松人形。モタエさんが葉子ちゃんに買ってあげたものでした。
 人形にわが子の面影を見つけた二人は、毎年一体づつ市松人形を求め続けました。
 二〇〇三年秋、人形七十体が長崎市に帰りました。子を思い続ける親の気持ちはいつまでも変わりません。
 蔵満さん夫婦の実話が知られるようになったのは、舞台「人形になったよう子ちゃん ナガサキ原爆物語」(「クリエイティブd」林雅行代表)。公演は一九九七年からいまも続いています。
原爆で亡くした子どもの面影を求め集めた「人形展」
「しんぶん赤旗」2004/8/5