長崎原爆の爆心地から半径十二`圏内で原爆に遭った、いわゆる「被爆体験者」への医療費支給問題で、坂口力厚労相は二十七日、対象となる居住要件の「十二`圏内」を、「長崎県内」に広げる考えを示しました。
 これは、爆心地から半径十二`圏内の被爆未指定地域を「健康診断特例地域」に指定し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などが認められた人に医療費を支給する制度(二〇〇二年)の一部見直しを示唆したもの。
 支給対象が十二`圏内居住者に限定されたことから、長崎県と長崎市、被爆者らから「居住要件の撤廃」を求める声が広がっていました。
 八月九日・「長崎原爆の日」を前にした厚労相の発言は、支給対象を県内居住者に限定するもので、県と市は「あくまでも居住要件の撤廃を求める」としています。
 長崎原爆被災者協議会の山田拓民事務局長は、「現在の居住地に関係なく被爆体験の影響は出ており、県の内外を区別する理由はまったくない。被爆者はどこにいても被爆者、県外の該当者を差別するのは許されない」と語りました。
 現在、居住要件によって支給対象から除外されている「被爆体験者」は、長崎県内に約千百七十人、県外に約千二百二十人居住しています。
「被爆者はどこに住んでいても被爆者」と、制限の撤廃求める
「しんぶん赤旗」2004/7/30