2004年6月27日(日)「しんぶん赤旗」

心のスイッチ切り替えられない

佐世保事件1カ月を前に 御手洗さんが手記


 長崎県佐世保市立小学校六年の御手洗怜美さん(12)殺害事件で、父親の毎日新聞佐世保支局長、恭二さんは二十六日、事件発生から来月一日で一カ月になるのを前に、「心のスイッチを『怜美のいない生活』に切り替えることができないまま、毎日が過ぎていきます」などとする手記を、代理人の八尋光秀弁護士を通じて明らかにしました。手記全文は次の通り。


◆まもなく一カ月について

 表面上は普通の生活をしていますが、当初からお話ししてきた違和感は消えません。心のスイッチを「怜美のいない生活」に切り替えることができないまま、毎日が過ぎていきます。

 何日か前に、ようやく5月30日の運動会のビデオを見ることができました。徒競走。リレー。ダンス。楽しそうな姿が、そこにはありました。そして同じテープの中に去年のクリスマスイブの怜美の様子が映っていました。もう、あの子とクリスマスケーキを食べることができないんだ、プレゼントをあげることもできないんだと思ったら、涙が止まりませんでした。

 怜美の思い出が詰まった今の家は、多くの同僚が取材で走り回る拠点でもあります。そのため、静かに落ち着ける場所に移る準備を進めています。

◆謝罪について

 八尋先生から相手のご両親の申し出や手紙の件は、お聞きしています。ですが、手紙を読んだり、お会いすることによって、私自身が壊れてしまいそうな不安があります。いつかは手紙を読んだりできる時が来るかもしれませんが、今はそのことを考えることすら苦痛です。