2004年6月15日(火)「しんぶん赤旗」

女子児童を精神鑑定へ

佐世保・小6事件 家裁支部が決定


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 長崎県佐世保市立小学校六年生の御手洗怜美さん(12)が同級生の女子児童(11)にカッターナイフで切られ死亡した事件で、長崎家裁佐世保支部は十四日午後、加害者女子児童に対する第一回少年審判を収容先の長崎少年鑑別所で開き、小松平内裁判長は女児の精神状態などを調べるため、精神鑑定実施を決め、鑑定人を指定しました。十四歳未満の少年に対する精神鑑定は異例。

 審判は午後三時から約三十五分間、非公開で行われました。家裁調査官のほか、女子児童とその両親、付添人の弁護士らが出席。本人を確認する人定質問に続き、黙秘権と非行事実の告知、女児の認否を含む弁解の聴取が行われたもようです。

 付添人の弁護士によると、女子児童の両親は精神鑑定の実施に同意しました。決定について、付添人の川添志弁護士は「加害女児の治療や更生に役立つような結果が出されることを期待している」としました。

 一方、怜美さんの父御手洗恭二さんは「なぜ怜美を殺さなければならなかったのか。そこにつながる何かが、見つかることを強く期待する」とのコメントを弁護士を通じ発表しました。

 同家裁支部は今後、観護措置の二週間延長を決める見通し。審判は鑑定期間中は中断されます。鑑定書提出後に再開され、最終的な処分を決めます。

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精神鑑定 刑事事件の場合、被告、容疑者らが犯行当時、刑事責任能力を有していたかどうかを判定すること。刑事責任が問われない少年の場合は、事件当時の精神状態や精神疾患の有無などの診断を指します。精神医学の経験が豊富な精神科医や心理学者が鑑定人となります。知能や思考、記憶、幻覚、妄想などの精神症状があるか、犯行時の精神状態はどうだったかを、聞き取り調査や脳波検査、心理テストを実施して診断。鑑定人によって結論が異なることもあり、裁判官は鑑定人の意見に拘束されるわけではありません。