「網がだめになり漁の障害になるだけ。今年も仕事にならない」と操業中止の漁民も。

 有明海異変で問題になっている、「潮受け堤防」外側の諫早湾。長崎県島原周辺から小長井町にいたる沖合いや沿岸の広い範囲で、今月初めから「謎の浮遊物」が発生、漁業者は「またか!」と頭をかかえています。
 島原市で漁船漁業などを営む吉田訓啓さんら複数の漁業者は、「三日朝十時にクツゾコ網を入れて翌朝朝二時に網あげしたら、去年と同じドロドロの浮遊物がからんでいた」「この先どこまでひどくなるかわからん」と証言。直後の八日朝には不安が的中し、「もう網があがらないほどずっしり重く、二隻の船で引っ張って帰った。網がだめになり漁の障害になるだけ、今年も休漁」と肩を落としました。
 吉田さんらは、「有明海の潮流の変化が原因だと思う」「ここの漁法は、有明海特有の潮流・潮汐を利用したものばかり。潮流を元に戻すには潮受け堤防を大きく開ける以外にない。早く中・長期開門調査を実施してもらいたい」と口をそろえました。
 昨年の浮遊物について関係機関は、「貝やゴカイなど底生動物の卵に、沈殿した泥やプランクトンが大量に付着したもの」と分析しています。
また諫早湾の広い範囲で「謎の浮遊物」が発生
「しんぶん赤旗」2004/05/11