加用さん「ホッとしたけど、監督署の反省のことばがいただきたい」とコメント

 労災申請を却下された元三菱重工長崎研究所室長・加用芳男さんが、却下処分取り消しを求めて提訴した「加用労災裁判」で、敗訴した被告の長崎労働基準監督署(福田滋署長)は十六日、「被災者救済の観点から控訴を断念する。給付の速やかな支払い処理に務めたい」とのコメントを発表、原告・加用さんの勝訴が確定しました。
 「控訴断念」の連絡と、給付手続きに入った同労基署の訪問を受けた加用さんの妻・豊子さんは、「心配でしたがホッとしています、ご支援のおかげです。裁判中心でしたから、これからリハビリに励み暮らしを取り戻したいです」と喜びを語りました。しかし同労基署に対しては、「まちがった対応でどれだけ苦しめられたか知れないのに、(十七日の訪問でも)何の反省のコメントもなかった。直接反省を求めたい」と、心の通わない行政の事務的対応にいらだちをあらわにしました。
 加用さんが倒れたのは一九九四年一月。「心筋梗塞(こうそく)で倒れ、重い脳障害となったのは過重労働のせい」と労災を申請しましたが、長崎労基署は「因果関係がない」と却下。 訴えに対し長崎地裁は二日、「時間外労働を試算すると一カ月約七十六時間。休日の半分以上は出社」などと、時間的にも質的にも極めて多忙であったと認定。合わせて「目が回るとはこのことだ」「仕事は増える一方、たまる一方」「非常に疲れた・・こんな調子だと本当にだめになるかもしれない」と、加用さんが綴った日記で当時の職場の実態を裏づけ。「大きな負荷がかかっていた」と、疑問の余地のない判決を言い渡していました。
監督署が控訴断念。加用労災で原告勝訴が確定
「しんぶん赤旗」2004/3/18