排水路が隆起し畑地に水流れ込む。「このままではまた繰り返す」「明確な設計ミス」と関係者

 諫早湾干拓事業・中央干拓地(長崎県諌早市)の中央ゲート北側に、農業入植者の宅地・倉庫用地(十二f)として造成されている高さ約三・八bの盛土が二日早朝、南北約百四十b、東西約四十bにわたって突然沈下。約五十b離れた干拓地外の排水路が同じ規模で盛り上がって水路を塞ぎ、水が畑地に流れ込む災害が発生しました。
 九州農政局諫早湾干拓事務所の渡邊光邦次長は、「盛土の荷重と先の雨で地盤のバランスが崩れ、旧堤防を軸にして地下の潟土が排水路側に流動した。『円弧滑り』現象」と説明。「局部的なもので、詳細は調査中」としながらも、原因は「地質調査点が少なく、地盤改良工事が不十分だった」として、「排水路のバイパスづくりを急ぎ、改めて地質調査を実施する」と語りました。
 現場の潟地では、三・八bの盛土が約二年で二・五bまで地盤が下がるといわれています。
 諫早市の担当者は、「干拓地と背後地の境目をきちんと遮断しないと、また繰り返す」と話し、住民は「旧堤防の沈みは朝よりひどい。まだ動いている」と心配します。
 排水路のそばに麦畑をもっているという男性は、「あぜ道を見れば、畑が十a位押されている。排水路の水が二百b近く流れ込んでいるから麦は根腐れでダメだろう」と肩を落としていました。
 日本共産党の福岡洋一諫早市議は、「水路のそばに盛土するなど明確な設計ミス。完成したばかりの水路が壊され、またムダな税金が注ぎ込まれることになる」と事業推進を批判しました。
諫干で災害、「円弧滑り」で潟地地盤の弱さ露呈
2004/3/6 「しんぶん赤旗」