2004年3月3日(水)「しんぶん赤旗」

労災不支給 取消す

三菱重工元室長の過労障害を認定

長崎地裁


写真

支援者に囲まれ、笑顔で裁判所をでる加用芳男さん(中央)と妻・豊子さん(右)=2日、長崎地裁前

 長時間労働と、ストレスによる疲労の蓄積で急性心筋梗塞(こうそく)で倒れ障害が残り、労災認定されないのはおかしいと、元三菱重工長崎研究所・室長の加用芳男さん(58)が「労災不支給処分の取り消し」を求めていた裁判で、長崎地方裁判所は二日、長崎労働基準監督署の「不支給処分」を取り消す判決を出しました。

 判決は、加用さんが訴えていた長時間・過密労働の実態を全面的に認め、原処分を取り消した勝訴判決。「年末年始休暇後のテニス中の発症」という会社側の主張についても、「テニスは心筋梗塞発症のきっかけにすぎず、三年以上の蓄積疲労で休暇前に発症していてもおかしくない状態だった」と、訴えを認めました。

 玉木一成弁護士らは、「一昨年改定された認定基準をさらにゆるやかに適用した評価できる判決。タイムカードなど長時間・過密労働の記録がない場合でも、証言によって労働災害と認めうる先例的なものとなった」と、判決の意義を強調しました。

 加用芳男さんの手を握り、いたわりながらあいさつした妻・豊子さんは、「酒もタバコも飲まず、健康にも気を使っていた夫がこんなになったのは仕事のため、『やるしかない』という気持ちでがんばってきた。訴えに共感し、支えてくれた多くの人たちの力です」と感謝の思いを語りました。