佐世保市や長崎県も出資し第三セクター方式で一九九二年に開業した、九州最大の大型リゾート施設「ハウステンボス」(長崎県佐世保市‖森山道壯社長)は二十六日、約二千三百億円の負債を抱えたまま長崎地裁佐世保支部に会社更生法の適用を申請して倒産、事業継続による新たな再建の道をさぐることになりました。
 同社は、「年間入場者四百万人、売上げ五百億円」という過大な見通しによる初期投資の負担で、当初から赤字が続き、経営者の刷新とリストラ「合理化」で経営再建をめざしていました。しかし九六年以降は、入場者も減り続け、〇一年には入場者三百五十五万人、売上げ三百二十万円まで落ち込んでいました。バブルに踊らされた初期投資の多額の債務が重くのしかかり破たんを招いたといえます。
 ハウステンボスにかかわる取引業者は約三千、生活を依存する従業員は約千八百人(うち約六百人はパート)で、「(当面は)予定されたイベントや営業は通常通り継続する」(同社)ことになっています。
 あわてて納入代金について問い合わせた佐世保市内の取引業者は、「これまで通り支払う」との返事だったといい、従業員も「仕事はそのまま、心配しなくてよいと説明があった」(男性パート)と表面上は平静です。
 しかし三月三日の債権者集会の内容しだいでは、ただでさえ不況で厳しい中小業者の資金繰りがさらに深刻化することが予想されます。佐世保市商工労働課では、「支払いストップとなれば新たな融資制度が必要。取り引き業者や債権者が市内でどれ位かはわからない」といいます。
 新たな再建計画で事業規模が縮小されれば、リストラや「合理化」がさらにすすみ雇用不安が増大することになります。
 関連ホテルに勤める女性Iは、「当面は影響ないと思いますけど、そりゃ心配ですよ。運命共同体ですから」と内心を明かしました。
 長崎観光のあとで来たという東京の女子大生三人連れは、「チューリップがきれいでサービスもよかった。でも見るだけですから一回行けばいいかなという感じ。地元の人が散歩気分で来られるようにしたほうがいい」と話していました。
   
 ハウステンボスは、もともと長崎県が工業団地として造成した土地。県は、「過大な予測にもとづく開発優先・大企業奉仕の事業。県民の税金を注ぎ込むべきではない」との批判のなか、リゾート施設を拡大しようとする業者に百五十fの土地を格安で売却。取り付け道路の建設など、事業を積極的に援助・支援してきました。
ハウステンボス更正法申請、「どうなる!取り引き業者や従業員の雇用」。先行き不安の声大きく
「しんぶん赤旗」3月1日