被爆地景観守れ、「高層マンションは被爆地の平和ゾーンの景観壊す」と、住民団体が建設見直し求める
                 「しんぶん赤旗」2月26日

 長崎原爆で自ら被爆しながら被災者救援に力を尽くした故・永井隆博士が、隣人たちに贈られ晩年の三年間を過ごした二畳ひと間の住居「如己堂(にょこどう)」と、長崎市永井隆記念館の隣接地(同市上野町)に、高さ三十二bの高層マンションを建設する計画が進み、住民や市民の間から「原爆犠牲者が集中する慰霊の地に高層ビルはふさわしくない」と反対の声が広がっています。
 永井博士の知人や住民でつくる「如己堂周辺の景観を守る会」(深堀哲也会長ら代表者二人)は二十日、地域公民館に約七十人が集まり、出席した建設事業主に対して計画の全容説明と建設見直しを求めました。
 守る会の浜里欣一郎代表は、「ここは原爆で完全に破壊され、全員即死し全滅した所。『人が住まないと復興しない』と、悲しみを超えて慰霊の塚を建て核廃絶を訴え続けてきた場所。年間二十万の子どもたちが平和学習で訪れるこの周辺の景観を壊すことは許されない」と住民の想いをのべ、「なぜこの場所なのか」と説明を求めました。
 参加者は、「地元でも自主的に高さ制限して家を建てている」「如己堂の事を知ってほしい」「如己堂は風に弱い。日照や風害はどうなるか」などと次々に訴えました。
 福岡に本社を持つ事業主の担当者は、「何階建で何戸取れるかから考え、『十階まで建ててよい』との市の回答だった。ここが特殊な場所とは分からなかった」と弁明、再検討を約束しました。 予定地は爆心地から北へ約六百b、平和公園の北約二百五十bの丘。高さが十五bに制限された「景観形成地区」ではないものの、同公園からは平和祈念像の背後に突出して見えることが想定されます。長崎市は二年前、永井記念館改築の際、「周辺の景観を損なう」と二階建にとどめた経緯があります。
 守る会は先に、同市に対して「業者への指導を」と申し入れ。すでに一万人を超える署名を集めています。