豊かな有明 回復へ一歩

工事差止め訴訟第1回口頭弁論

佐賀地裁 漁民、市民ら

2003年2月22日(土)「しんぶん赤旗」
「有明訴訟」第1回口頭弁論を前に、佐賀地裁に入る原告・弁護団=21日、佐賀地裁前

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)で漁民・市民六百十一人が内部堤防(前面堤防)工事の差し止めを求めた「よみがえれ有明訴訟」の第一回口頭弁論が二十一日、佐賀地裁で開かれました。

 原告ら百六十人が別室もふくめ二つの法廷で見守る中、漁民原告、市民原告、弁護団の八人が意見陳述しました。原告・弁護団はスライドも使って、有明海がいかに豊穣(ほうじょう)の海であり、これまで筑後大堰(ぜき)などによって豊かな海を育む自然条件が破壊され、諫早湾干拓がとどめを刺そうとしていることを訴えました。

 一日で百二十`もとれた二枚貝のタイラギや、家族五人が十分食べてわずか五百円だったアゲマキ貝など、海の特産物の豊かさが語られると、原告や傍聴者から「あーそうだったね」の声があがりました。

 漁民原告の荒巻弘吉さん(福岡県)、川崎直幸さん(佐賀県)が、「このような不作が続けば、この一、二年で有明海沿岸の漁業者はつぶれてしまう。地域の経済や住民の暮らしはどうなる」「諫早湾で発生したプランクトンが潮流で運ばれて、ノリの色落ちにつながった」と訴えました。

 馬奈木昭雄弁護団長は、口頭弁論が「豊かな有明海の回復に向けて踏み出した力強い偉大な一歩だ」と指摘。「被害はけっして有明漁民だけに生じているのではない。全住民の自然的、社会的生活環境が全体として破壊されている」と訴えました。次回口頭弁論は三月二十八日。同日、原告・弁護団は第三陣を提訴する計画です。