昨年二月の長崎県知事選挙をめぐる違法献金問題で、民主長崎県政をつくる会は四日、金子原二郎知事にたいし、「事態は自民党県連前幹事長の逮捕や知事後援会への献金へと進展している」などとして、知事自身が事の真相と自らの責任を明らかにするよう改めて申し入れました。
 つくる会代表世話人の横山茂樹弁護士ら代表七人は、「『長崎方式』と呼ばれ、国会でも大問題になるほど異常な県政。知事自ら真相を究明し責任を明確にせよ」「一回目の申し入れに対する知事の返事は、『献金は要請していない』というだけで回答になっておらず、いまの事態では通用しない」と指摘。
 「違法献金によるカネを使って選挙したのはルール違反そのもの」「この場に出てきて県民の疑問に答えるのが責任だ」などと、真実を自ら語ろうとしない知事の姿勢を厳しく批判しました。
 応対した総務部の川田洋次長は、「知事に伝え回答する」と繰り返すだけで申し入れに何ら答えられず、県民に対する知事の不誠実な態度を浮きぼりにしました。
 つくる会は翌五日、長崎市内の繁華街で街頭宣伝を行ない、自ら真相を語らず県民の疑問に答えない知事の姿勢を厳しく批判。街頭では、「がんばれ」(中年男性)「徹底してはっきりさせてほしい」(ыホの女性)などの声が聞かれました。
知事選をめぐる違法献金問題での再度の申し入れ

 私たちは、昨年十二月十二日に貴職にたいし「知事選挙での違法献金事件の真相と自らの責任を明らかにすること」など三項目について文書で申し入れました。同月十九日に貴職からの文書による回答を受け取りましたが、「献金の要請は一切いたしておりません」などと述べるだけで、「申し入れ」への回答になっていません。貴職は、一月三十日の記者会見で「疑惑明らかにする」考えを示したと報道されていますが、長崎地検の捜査が終わるのを待つのでなく、一日も早く真相と責任を明らかにすべきです。
 貴職は、県議会最大与党の自民党長崎県連の支援を受けて知事選をたたかいました。その自民党県連幹事長の浅田五郎県議(当時)が、公選法違反で逮捕されました。浅田氏は、知事選のために公共事業受注企業から献金をあつめたことを認めています。また、貴職自らの対馬後援会への違法献金疑惑もあきらかになっています。事態の進展はあなた方の弁明が言い逃れにすぎなかったことを証明するものではないでしょうか。
 自民党県連の資金あつめは「長崎方式」とよばれ異常さがきわだっています。県の公共事業の受注額に応じて献金額が決められ、まさに「受注のさたもカネしだい」と言われています。さらに自民党県連は収支報告書に記載していないゼネコン九社からの「ヤミ献金」を受け取っていたこともあきらかになっています。県民のあいだからは、「献金ではなく『たかり』ではないか」という怒りの声があがっています。
 県発注公共事業の工事代金は県民の税金です。そのため、公共事業受注企業からの献金は、税金が受注企業を経由して知事や自民党のふところに入ったことになります。不況で県民が苦しんでいるときに、県民の税金で選挙をやることなど絶対に許されません。また、企業からカネをもらえば企業の利益のために政治がゆがめられます。献金をことわった企業がその後、県の公共事業を受注できなかったことなども報道されています。ここに長崎県政の重大問題があります。
 県建設業協会の上滝勝会長は、長崎地検の事情聴取を受けた直後十二月三日の記者会見で「金子後援会から依頼をうけて選挙資金を集めた」と語り、自民党県連の安田実穂事務局長はゼネコン支部へ要請をおこなった際「選挙もある。知事にも相談済みの話」と説明したと報道されています。(十二月十二日長崎新聞)。
 金子原二郎対馬後援会の収支報告では、知事選挙直前の一昨年十一月から十二月にかけて自民党県魚市場連合会支部から三百十万円を受け取っています。この自民党県魚市場連合会支部は、この時期に県工事受注業者九社か三百万円の献金を受けています。まさにこの支部をトンネルにして受注企業から金子後援会に献金がおこなわれていたことになります。
 知事選挙がこのような違法献金によっておこなわれ、知事や知事後援会の直接の関与もあきらかになっており、貴職の責任はいよいよ重大です。民主長崎県政をつくる会は、あらためて次の内容について貴職に質問し、二月十二日までに文書による回答を求めるものです。

                記
一、貴職推薦の最大会派自民党と金子後援会にかかわる違法献金の真相と自らの責任を明らかにすること。
一、県民が納得できる再発防止策をしめすこと。
一、県発注事業の受注企業からの政治献金は禁止すること。

 二〇〇三年二月四日
                              民主長崎県政をつくる会
                             代表世話人 横山 茂樹
長崎県知事 金子 原二郎 様
民主県政つくる会、知事に再び「違法献金の真相究明と責任の明確化」求める
「しんぶん赤旗」2月6日
記事の下に申し入れの全文を掲載しています