昨年二月の長崎県知事選をめぐる違法献金事件で、違法献金をゼネコンに要請した自民党県連の前幹事長がさきに逮捕されましたが、金子原二郎知事の後援会自体にも違法献金疑惑が明らかになりました。知事側近でつくる政党支部を隠れみのにして、知事選の直前、知事選期間中にも県発注工事を受注していた企業から献金を受け取るという、ごまかしの仕組みが本紙の調べで判明、知事自身の責任が厳しく問われています。
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長崎県選管に提出された二〇〇一年の政治資金収支報告書によると、自民党魚市場連合会支部が知事選直前の〇一年十二月に企業九社から三百六万円の企業・団体献金を集めています。同支部は、この献金を受けた、ほぼ同時期に、ほぼ同額を金子原二郎対馬後援会に献金しています。
同後援会は、同支部をトンネルにして、これら企業の献金を集めていた格好です。
同支部に献金した九社のうち、若築建設や地元の建設会社など六社は、知事選期間中を含む時期に県発注工事をあわせて三十一件、受注していました(表参照)。若築建設は、伊王島港改修工事(二工区)を〇一年十月十六日に入札、〇二年三月二十日に完工するなど、計四件六億三千万円分を受注しています。六社の献金額は計百六十六万円にのぼります。
公職選挙法は、地方自治体の議員と首長の選挙に関して、その自治体と請負などの契約関係にある企業の寄付を禁止しており、さきの六社の献金は違法の疑いがあります。知事側は魚市場連合会支部をトンネルにしてこの法の網を逃れようとしたとみられます。
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魚市場連合会支部の代表は、金子知事が会長を務めた青果卸会社の元役員、会計責任者も知事が自民党衆院議員時代の公設秘書が経営する生鮮魚介卸会社の常務で、事実上、知事側近が役員となっています。
金子原二郎対馬後援会の代表は、本紙にたいし、「献金したいという方から、どこに振り込んだらいいか、聞かれた。政党支部を通せということを誰かにいわれたらしいが、私はわからないので、長崎市の金子後援会に聞いたら、魚市場連合会支部を紹介された」と証言。支部への献金が実態としては後援会への献金だったことを明らかにしました。