受注はカネしだい

6000万円献金→170億円受注 五洋建設

献金ゼロ→150万円受注 大成建設

自民長崎不正献金

03年1月19日(日)「しんぶん赤旗」
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 受注のさたも献金しだい――。知事選をめぐるゼネコンの違法献金で、自民党県連前幹事長浅田五郎容疑者(65)らが逮捕された長崎県では、同党県連への政治献金が多いほど県発注工事高も多いという“癒着の相関関係”があることが本紙の調べでわかりました。ゼネコン関係者は「長崎県では献金しないと仕事がとれないという傾向がとくに強かった」と指摘しています。

報告書によると

 自民党長崎県連の政治資金収支報告書によると、もっとも多く献金しているのが五洋建設。ゼネコン汚職が摘発された一九九三年以降も、毎年五百万円以上、多い年は九百万円も献金。九三年から最新の二〇〇一年分報告書までの九年間で五千九百万円も献金しています。これについで献金額が多いのが若築建設。毎年ほぼ五百万円を支出し続けて、同じ九年間で四千七百万円を献金していました。

 他方、清水建設と大成建設は、ゼネコン汚職以降の同じ九年間で同県連への政治資金収支報告書上の献金はゼロでした。

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清水建設が仮契約して、わいろを要求された本河内高部ダムの工事現場=長崎市

 今回、長崎地検などの調べで、若築建設、清水建設、奥村組、飛島建設などが収支報告には出ないヤミ献金をしていたことがわかり、収支報告書を上回る金が自民県連に流れていたことも明るみに出ました。しかし、長崎県の場合、収支報告書に届け出る「表献金」の金額が多く、これだけをみても工事受注との関係が浮上してきます。

 県のおもな公共工事は、土木部と漁港関係工事を出す水産部から発注されます。県の資料によると、この二つの部から発注された工事落札額(一九九八年四月から昨年十一月)で、もっとも多いのが献金額一位の五洋建設で、約百七十四億四千六百万円も。献金額二位の若築建設も漁港整備工事など総額約百四億円を落札しています。

 他方、清水建設の受注実績は、九八年十月に落札した街路改築工事(四千四百十万円)の一件だけ。同社は県と仮契約した本河内高部ダム建設工事を県議会で議決する見返りとして浅田容疑者にわいろを要求されましたが、この経過も献金と受注の相関関係を象徴しています。

仕事とるため

 九二年の二百万円を最後に、自民県連への献金がない大成建設も、九八年度以降、長崎南環状線の橋梁整備工事(百五十二万円)のみという状態です。

 ゼネコン関係者は「長崎県での献金額が多いので本社で問題になったことがある。仕事をとるために必要だということでそのままになった」と話しています。