2003年1月17日(金)「しんぶん赤旗」

ヤミ献金メモあった

封筒に社名・日時・金額

自民長崎県連

総額2000万円に


 昨年二月の長崎県知事選をめぐる違法献金事件で、自民党長崎県連側がゼネコン各社から「ヤミ献金」を受け取った際、日時や額などを封筒にメモしていたことが十六日、分かりました。長崎地検は同年十二月の県連に対する家宅捜索で、メモが記された複数の封筒を押収しているもようです。

 ヤミ献金は総額約二千万円に上り、使途不明になっています。

 同地検の調べなどによると、県連前幹事長の浅田五郎容疑者(65)=公選法違反(特定寄付の要求禁止)容疑などで逮捕=と県連事務局長の安田実穂容疑者(64)=同法違反容疑で逮捕=は知事選前の二〇〇一年十二月、ゼネコン三十数社の福岡市内の支店などを回り、選挙資金として献金を要請。このうち県発注工事を受注していた不動建設(大阪)や五洋建設(東京)、鉄建(同)など七社は同年十二月から翌年一月にかけて約千九百万円を献金しました。

 一方、清水建設(同)、飛島建設(同)、若築建設(同)、奥村組(大阪)の四社を含む複数のゼネコンは、帳簿外の「裏金」や使途秘匿金などから総額約二千万円の献金を捻出(ねんしゅつ)。これらは県連の政治資金収支報告書に記載がなく、ヤミ献金とみられます。

 封筒にはこれらのヤミ献金を保管していたとみられる安田容疑者の手書きで、受け取った社名や日時、金額などが書き込まれていました。

受注企業2転3転

 清水建設にわいろを要求した収賄容疑で逮捕された自民党長崎県連前幹事長、浅田五郎容疑者(65)の事件の舞台となった本河内高部ダム(長崎県発注)入札をめぐっては、落札企業が次々に契約辞退に追い込まれ、「談合情報」も流れるなど異常な事態が続発しました。同ダム入札をめぐる全容の解明も求められています。同ダムは当初、二〇〇一年八月、一般競争入札の結果、清水建設を幹事社とする共同企業体(JV)が二十九億八千万円で落札しました。

 その直後、清水建設が建設廃材を不法投棄していた問題が発覚。同年九月、清水建設は同ダム建設工事の契約辞退を県に申し出ました。そのため翌二〇〇二年二月に再入札をおこない、銭高組を幹事社とするJVが二十九億三千万円で落札しました。

 ところが、その後、銭高組九州支店の幹部が暴力団幹部と交友していたことが発覚。同県から指名除外処分となり、銭高組は契約辞退しました。

 県は工事の遅れなどを理由に再々入札はおこなわず、企業から見積書を出させて随意契約を結ぶやり方を採用。結局、二十八億四千万円で奥村組を幹事社にするJVが受注しました。

 この際も事前に県長崎土木事務所や報道機関などに、奥村組などの受注は決まっているとの「談合情報」が寄せられ、県は各社に誓約書を提出させて見積もりを執行させました。

 ゼネコン関係者は「ダム受注をめぐっては、ゼネコンが足をひっぱりあい、政治家の関与もいわれている。異例ともいえるこのダムの経過の全容を明らかにすることが必要だ」と語っています。