国に原爆症認定を求めたのに書類審査だけで却下されたのは納得できないと、被爆者九人が十日、長崎市(六人)と長崎県(三人)に集団で異議申し立てを行いました。

 申し立てたのは長崎原爆被災者協議会(被災協、葉山利行会長)の援助で、昨年七月九日に原爆症認定を集団申請した被爆者十五人のうち却下された被爆者九人です。十五人のうち認定されたのはわずか二人(二人はまだ通知がなく、一人は通知を待たず死亡)です。

 被災協の山田拓民事務局長は、異議を申し立てた被爆者の多くがガンなどの病気で入退院を繰り返す毎日とのべ、「厚生労働大臣の却下通知は冷酷で、理由も示さないひどいもの。九人全員が『苦しんでいる被爆者の実態を見てほしい』と、長崎での口頭審査を求めている」と怒りをあらわに説明しました。

 胃ガンで二回手術を受け、三度目の手術を宣告されているという身体をおして心境を語った庄野順子さんは、「多くの被爆者は懸命に生きようとしているけど自分ではどうすることもできない。書類上だけの線引きでなく、生身の人間として扱い、話を聞いてほしい」と、原爆症認定を重ねて訴えました。
原爆症認定問題
認定を却下された被爆者が集団で異議申し立て