「まともに調べず、理由も示さず却下する厚生労働省は許せない」と怒り

 厚生労働省に原爆症の認定を申請し、「却下」処分を受けた長崎県内の被爆者五人が九月三十日、処分の取り消しと精神的苦痛への損害賠償を求める訴えを長崎地裁に起こしました。四月、六月、八月に続く第四次の集団提訴で、県内の原告はこれで二十三人(うち一人は提訴後死亡)。日本被団協の呼びかけで集団提訴した被爆者は、全国で合計九地裁、百二人となりました。
 訴えたのは、爆心地から〇・九`〜四・八`で被爆した長山敏さん(佐世保市)、近藤勲さん(長崎市)、森内実さん(長与町)、執行道雄さん(長崎市)、高以良タエミさん(長与町)の五人で、うち三人は被爆後爆心地付近に入った入市被爆者です。
 爆心地から四・八`で被爆し、翌々日から親せきの消息をたずねて爆心地周辺に何回も入った森内さんは、いまも結腸ガンと胃ガンに苦しめられいます。「被爆後わずか半月で親せき七人が亡くなりました。その死にざまを思い出すたびに、国はもっと被爆者の実相を調査すべきだと思う。それもやらず、理由も示さず原爆症申請を『却下』する国の姿勢に心からの怒りをもつ。国の対応にはあたたかみをまったく感じない」と、提訴に至った思いを語りました。
原爆症集団訴訟、五人が第四次提訴