日本共産党の小沢和秋・赤嶺政賢衆議院議員が、連名で諌早湾干拓事業の中止を求めて7月10日に提出してた9回目の質問主意書に対し、8月29日答弁書が閣議決定されました。
 有明海では今年5月に、「謎の浮遊物」と呼ばれる粘質状の浮遊物が大量発生し、漁業に深刻な被害を与えました。これについて主意書では、「工事に使われている大量の生石灰が調整池に溶け込み、調整池からの大量排水が浮遊物発生の引き金になっていないか」と質問し、生石灰の使用中止を求めていました。
 これに対し答弁書は、「浮遊物は底生生物などが放出した粘質物に、底泥やプランクトンなどが付着したもの」で、「調整池の排水が浮遊物発生の引き金ではない」と答えています。生石灰は昨年度までに1万1500トン、今年度以降は約1万1千トン使うことを明らかにしましたが、「生石灰が調整池と、諌早湾の水質に影響を与えることはない」としています。
 元・中央水産研究所の佐々木克之氏は、農水省が発表した短期開門調査報告書について、「調整池の水質改善理由は、海水導入の希釈効果に伴うものとなサているが、海水により、浮泥が窒素や燐(りん)を吸着して沈降・堆積したため」という見解を発表しています。
 主意書ではこの見解を引き、「短期開門調査でも有明海の環境回復へ大きな可能性が示されたのだから、中・長期調査をただちに実施すべきではないか」と求めました。
 しかし、答弁書は凝集効果があることを認めながらも、「調整池の化学的酸素要求量(COD)濃度は低下したが、海域への負荷量は海水導入前より増加し、環境回復の可能性は示されていない」と、すみやかな中・長期調査実施には背を向けました。
有明海の「なぞの浮遊物」問題
共産党の質問主意書に政府答弁