2003年8月2日(土)「しんぶん赤旗」

よみがえれ有明

訴訟勝利へ漁民・市民行進 佐賀


 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の工事差し止めを求めている「よみがえれ有明訴訟」の勝利をめざす集会が一日、裁判を提訴している佐賀地裁のある佐賀市で開かれました。福岡、佐賀、長崎、熊本の原告漁民、市民ら二百五十人が集まり、集会後、「大漁旗」を先頭に佐賀市内をパレードし、「宝の海を返せ」と訴えました。

 集会で堀良一弁護士は、諫早湾干拓事業と比べ面積で十倍にのぼる韓国セマングム干拓事業について、韓国の裁判所が事業の執行停止の決定を出したことをあげ、「私たちの運動は、ムダな公共事業からかけがえのない自然を守ろうとする世界のうねりの中にいる」とのべました。

 諫早湾閉め切りから六年、ノリ大凶作から三年──。東幹夫長崎大教授が有明海異変について講演し、河西龍太郎弁護団副団長が調整池の水質と排水が与える悪影響を報告。四県漁業者が、有明海の環境悪化と漁業被害の深刻化を訴えました。

 熊本県荒尾市の原告漁業者、前田力さん(54)は三代続く漁業者で、準備は前田さん一人でやり、普段はノリ網の整備をしている妻がパートに出て、娘たちもアルバイト。「漁師の仲間も出稼ぎにいったり、ことし五件の漁師が廃業した。国は漁民を苦しめて、人の気持ちを持っているのか。私たちももう待てない。どんなことをしても有明海を取り戻したい」

 原告数は提訴した昨年十一月二十六日の約二倍の約八百人に増えました。馬奈木昭雄弁護団長は「有明海沿岸の現地の世論を変えるたたかい、国民全体の世論を変えるたたかい、東京でのたたかいとそれと結合した政治を変えるたたかいを八月いっぱい大きく広げれば、展望はひらける」とよびかけました。