2003年7月9日(水)「しんぶん赤旗」

有明海の浮遊物 生石灰説を調査

小沢和秋衆議院議員ら


 有明海に新たな漁業被害をもたらしている「なぞの浮遊物」の原因が国営諫早湾干拓事業(長崎県)で使われている生石灰だとする有力な説があるなか、日本共産党の小沢和秋衆院議員、仁比聰平衆院比例九州沖縄候補ら調査団は八日、同事業の現地を調査しました。

 調査団は九州農政局諫早湾干拓事務所の案内で、干拓地内の軟弱地盤改良のため、排水路計画地に使っている生石灰の使用や中和処理をしている現場を視察しました。

 干拓事務所側は、生石灰の使用量を、一立方メートルあたり四十キロ、全体で二〇〇二年度までに一万一千トン、今年度四千トンと説明。しかし、石灰成分が調整池を介して有明海にどのように排出されているか、わからないことが明らかになりました。

 小沢議員は、膨大な量の生石灰の使用によって、「なぞの浮遊物」の原因だという疑念、生石灰をひきがねにして環境を悪化させる懸念が強まったと指摘しました。

 同干拓事業で調整池から農業用水を取水するとしている点では、取水する場所が本明川の現河口のわずか六百メートル下流であることが判明。きれいな河川水を根こそぎ取水することで、調整池の水質がさらに深刻になる心配が浮かび上がりました。

 調査団は、漁民が「有明海の環境をさらに悪化させる」と懸念する「導流堤」計画について説明を受けました。

 調査には、諫早干潟緊急救済東京事務所、諫早湾の干潟を守る長崎県共同センター、よみがえれ有明海佐賀県民の会などの市民団体も同行しました。