被爆者の遺影と対面、追悼空間で核兵器廃絶の思い新たに

 原爆被害の実相を語り継ぎ、核兵器のない世界をと、国が三年前から建設をすすめていた「原爆死没者追悼平和祈念館」が六日、長崎市平野町にオープンしました。
 同祈念館は地上一階、地下二階建てで、原爆死没者名簿の原本百二十八冊が保管されています。地上スペースには原爆死没者が求めた「水」をたたえた水盤がおかれ、夜には約七万のあかりが灯ります。階下は、登録された死没者の遺影をパソコン画面を通して見ることができ、名簿が安置された広い追悼空間は犠牲者の冥福を祈り核兵器廃絶を祈念する静かな場所です。原爆詩の朗読鑑賞などの「平和情報コーナー」や、平和メッセージを書き残す「交流ラウンジ」もあります。
 オープンと同時に入館した約二十人の遺族や市民は、「遺影写真を見るのはどこですか」と聞いて説明を受けたり、死没者名簿の棚に手を合わせていました。
 孫娘らに手を引かれて入館した小川ハルエさんは、「夫は、原爆投下直後から遺体処理作業にあたり被爆した。食事ものどを通らず激しい頭痛や倦怠感に襲われ、数年間も原因不明の病気に苦しめられ亡くなった。お金も使い果たし、子ども達をかかえ、何回心中しようとしたか分からない」と被爆後の苦労を語り、さっそく遺影登録を申し込みました。
 夏場の開館時間は午前八時半から十八時半(八月七日〜九日は二十時)まで。入館無料です。
長崎市に原爆死没者平和祈念館オープン
「しんぶん赤旗」2003年7月7日